【医師監修】妊婦に湿布はNG? 貼ってしまったとき、ふくらはぎ・腰・肩が痛いときの対処法

【医師監修】妊婦に湿布はNG? 貼ってしまったとき、ふくらはぎ・腰・肩が痛いときの対処法

妊娠中は自己判断で市販薬を飲むのは控えた方がいいと言われていますが、よくわからないのが「湿布」の扱いではないでしょうか。妊婦さんは湿布を使う時も注意が必要なのでしょうか。体のあちこちが痛い時の対処方法とともにお話しします。


この記事の監修ドクター
葵鍾会 ロイヤルベル クリニック勤務。福島県立医科大学、同大学院卒業後、社会保険二本松病院、南相馬市立総合病院産婦人科医長、福島県立医科大学附属病院総合周産期センター(母体・胎児部門)助教、東府中病院副院長、アルテミスウィメンズホスピタル院長を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、医学博士、J-MELSベーシックコースインストラクター。

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知っておきたい妊婦の薬使用の影響

妊娠中は、時期や種類によって赤ちゃんに影響することがあるので、自己判断で薬を使用するのは控えた方がいいと言われています。

湿布について考える前に、まずは妊娠中、薬に注意が必要な理由をきちんと知っておきましょう。

妊婦はなぜ薬に注意が必要なのか

妊娠中はお腹の中で赤ちゃんの体が形成されていきます。妊娠週数によってどの器官がつくられるかは徐々に変わっていきますが、重要な器官が形作られる時期に薬を飲むと赤ちゃんに大きな影響を及ぼすことがあります。

また、薬の種類によっても影響の大きさは異なり、中にはどの時期であっても妊娠中は避けたほうが良いものもあります 。

「妊娠週数による薬の影響の違い」と「赤ちゃんへの影響がとくに大きいと考えられている薬の種類」を解説します[*1]。

妊娠4週~7週末はとくに自己判断で薬を飲まないで!

妊娠4週~7週末は「器官形成期」と呼ばれ、「赤ちゃんの脳、神経、心臓、胃腸、手足などの大事な器官」が形作られる時期です。そのため、もっとも薬の影響を受けやすいのです。

この時期はとくに、市販薬や手持ちの薬を飲む必要がある場合は、自己判断で飲む前に産婦人科医に相談しましょう。

それ以外の時期も薬には注意が必要

妊娠8週~15週末までは、性の分化や口蓋が完成する時期で、まだまだ赤ちゃんが薬の影響を受けやすいものです。

また、妊娠16週以降は器官形成は終わっているため、薬によって臓器の形に影響を受けることはほぼありませんが、痛み止めなどの中には臓器の機能に影響するものがあります。

そのため、妊娠8週~出産までの間も、薬を飲む時は事前に産婦人科医や薬剤師に相談してからにしましょう。

妊娠前~妊娠3週末に薬を飲んでしまったら

妊娠前~妊娠3週末までは、赤ちゃんが薬の影響を受けることはほとんどありません。この時期に薬を飲んでしまったとしても、その後、妊娠が続いているのであればまず心配はありません。

妊娠中に絶対使ってはいけない薬って?

赤ちゃんに影響しやすい薬としては、風疹ワクチンなどの生ワクチン 、男性ホルモン作用のある薬、排卵誘発剤、経口避妊薬などがあげられます。また、抗ウイルス薬、抗リウマチ薬、抗凝固薬、抗潰瘍薬、高コレステロール血症の薬、甲状腺の薬、解熱鎮痛薬の中にも、妊娠中は飲めない薬があります。

妊娠中は「自己判断では」薬を飲まない!

妊娠中に飲んで心配ない薬もたくさんありますが、今自分が飲もうとしている薬がどういうものなのか、一般のママにはなかなかわからないものです。

妊娠中は自己判断で使用するのは控えて、産婦人科医や薬剤師に妊娠中に飲んでも大丈夫な薬かどうか確認してからにしましょう。

湿布など貼り薬は大丈夫?

さて、妊娠中は、湿布などの貼り薬にも注意は必要なのでしょうか。
よく使われている商品ごとの注意点とともにお話しします。

貼り薬でも注意が必要

肩こりや腰痛などの時に貼る湿布にも、薬剤が含まれています。湿布を貼ると、薬剤は皮膚から吸収され、そのうちの一部は血液中に溶け出て全身をめぐります。また、その一部は胎盤を介して赤ちゃんに届きます。

湿布に含まれる薬剤、とくに鎮痛剤の中には、妊娠中に使用することで少量でも赤ちゃんに大きな影響が及ぶとわかっている種類があります。湿布の場合も、妊婦さんは使用する前に産婦人科医や薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。

モーラステープ、ロキソニン、サロンパス……商品ごとの注意書きは

湿布によく含まれている成分、ロキソプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクなどの「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」は、妊娠中、特に妊娠後期に使うと胎児の動脈管が収縮して胎児に心不全や胎児水腫などを起こす「胎児動脈管収縮」を起こすことがあります。

そのため、妊娠中はどんな薬剤を含む湿布か確認してから使用するのが大切です。
代表的な湿布を商品名ごとに見ておきましょう。

モーラステープ

主成分のケトプロフェンを妊娠後期に使うと、「胎児動脈管収縮」を起こすことがあります。そのため、妊娠中、とくに妊娠後期には使えません[*2]。

フェイタスシップ

主成分のフェルビナクは、妊娠中の使用について安全性が確立されていません。妊娠または妊娠していると思われる人は使わないようにしましょう[*3]

ロキソニンSテープ

主成分のロキソプロフェンナトリウム水和物は、妊娠後期に使うと「胎児動脈管収縮」を起こすことがあります。

ロキソニンSテープは、妊娠または妊娠していると思われる人の場合は、使う前に医師または薬剤師に相談することとしています[*4]。

サロンシップインドメタシンEX

主成分のインドメタシンは、妊娠後期に「胎児動脈管収縮」を起こすことがあります。
サロンシップインドメタシンEXも、使う前に医師または薬剤師に相談しましょう[*5]。

サロンパス

主成分のサリチル酸メチルは、湿布で使用する分には、妊娠中に使っても問題ありません[*6]。

なお、NSAIDsの中でも「シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤」という種類は、妊娠中に座薬や内服薬を使用することで、胎児の腎機能低下や尿量減少、羊水過少症を起こすことが、2021年2月に注意喚起されました[*7]。

この種類のNSAIDsには、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、エテンザミド、ケトプロフェン、サリチル酸、ジクロフェナク、フェルビナク、ロキソプロフェンなどがあります。妊娠中は、「座薬も」自己判断での使用は控えたほうが良いと覚えておきましょう。

妊娠中は貼り薬で肌トラブルを招くことも

妊娠中はホルモン分泌が変化することにより肌の状態が不安定になりがちです。そのため、湿布などの貼り薬を使ったとき、肌が荒れたりかぶれることもあります。

妊娠中、使用できる成分であっても、かゆみや肌荒れ、かぶれが出たら、一時的にまたは妊娠中は使うのをやめておくのが安心です。 湿布による肌トラブルがなかなか良くならない場合は、妊娠中であることを伝えたうえで皮膚科で診てもらいましょう。

貼る前に医師や薬剤師に相談を

繰り返しになりますが、妊娠中は湿布を使う際も、使用前にまずは産婦人科医や薬剤師に相談するのが安心です。

妊娠中にもできる湿布に頼らない痛みの緩和方法

手持ちの湿布が使えない場合も、別の方法でふくらはぎや腰・肩などの痛みを和らげることはできます。

妊娠中でもできる方法3つを紹介します。

ホットタオルやカイロで温める

血行を改善すると、腰痛などの痛みが治ったり和らぐことがあります。
ホットタオルやカイロを使って、痛む箇所を温めてみましょう。

なお、熱いのに我慢して使ったり低温でも長時間使うと、やけどをすることがあるので気をつけましょう。

ストレッチやヨガで血行を促す

適度な運動を続けることで、血行が促されて腰痛などの痛みが落ち着くことがあります。
体調が安定したら、マタニティヨガや妊娠中でもできるストレッチを適度に行ってみましょう。

日常的に体を動かすことも大切

産院から安静にするように言われていなければ、普段から適度な運動を心がけるのもおすすめです。

上に上げたストレッチやヨガ以外にも、マタニティエクササイズやウォーキングを無理のない範囲で続けてみましょう。体調に不安がある場合は、産婦人科で相談してから運動するようにします。

産院やスポーツジムによっては妊婦さん向けのエクササイズ教室を開催しているところもあるので、そこを利用するのもいいですね。

まとめ

湿布は貼り付けた箇所の皮膚から薬剤が浸透して、全身に行き渡ります。そのためどこに貼るとしても、妊娠中は湿布の成分をチェックすることが大切です。

妊娠中に注意が必要なのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む湿布薬で、種類によっては妊娠後期の使用で胎児の心臓などに悪影響を及ぼすことがあります。

湿布であっても、妊娠中は自己判断では使わず、産婦人科医や薬剤師に相談してからのほうが安心です。また、ホットタオルやカイロで温めたり、適度な運動で血行を改善するのも効果的です。

(文:大崎典子/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]くすりの適正使用協議会:「妊娠・授乳とくすり」
[*2]医薬品医療機器総合機構:モーラステープ20mg 
[*3]医薬品医療機器総合機構:フェイタスシップ
[*4]医薬品医療機器総合機構:ロキソニンSテープ
[*5]医薬品医療機器総合機構:サロンシップインドメタシンEX
[*6]医薬品医療機器総合機構:サロンパス
[*7]医薬品医療機器総合機構:シクロオキシゲナーゼ阻害作用を有する NSAIDs (妊婦を禁忌とする薬剤を除く)の「使用上の注意」の改訂について

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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