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2021年04月14日 08:25 更新

妊婦にうれしいいちごの栄養素!いちご狩りは行っても大丈夫?【管理栄養士監修】

妊娠中に必要な栄養素がたくさん詰まったいちごは、妊婦さんにとてもおすすめの果物です。へたを取るだけで簡単に食べられる点もうれしいですね。今回は妊婦さんがいちごを食べる際に気を付けたいことをご紹介します。

妊婦にうれしいいちごの栄養素

いちごには、妊婦にうれしい栄養がたくさん詰まっています。特に妊娠中にいつもより多く必要とされている葉酸やビタミンC、カリウムなどのほか、食物繊維も豊富です。手軽に必要な栄養素を摂れる果物として、いちごはとてもおすすめです。

赤ちゃんの健康に必須の「葉酸」

葉酸90μgが含まれるいちご

妊娠初期における葉酸の不足は、胎児の神経管閉鎖障害につながる可能性があるため、 妊娠計画中から妊娠初期には葉酸をしっかりと摂ることが推奨されています [*1]。葉酸が最も必要とされる時期は、食品以外にもサプリメントなどの栄養補助食品から400μgプラスして摂取することを推奨しているほど、妊娠初期における葉酸摂取は胎児の神経管閉鎖障害発症のリスクを低減させるために必要不可欠な栄養素となっています。

いちご100g(約5粒程度) 中に葉酸が90μg[*2]と多く含まれています。葉酸は調理や長期間保存による酸化で壊れることから洗って生で食べられるいちごは、葉酸の摂取が効率よくできる点で妊婦さんにおすすめの食材です。

鉄分の吸収を促す「ビタミンC」

いちごは果物の中でもビタミンCの含有量が上位で、みかんの約2倍含まれます。

ビタミンC は水溶性で水に溶けてしまう性質があるため、洗うときはへたをつけたまま洗う方がビタミンCの損失を防げます。 また、ビタミン類は加熱にも弱いので生のまま食べることもおすすめです 。

赤ちゃんを育てるために母体は鉄分の需要が増大し、妊娠していない時に比べ妊娠中は多くの鉄分量が必要になります[*3]。妊娠中は貧血になりやすいですが、ビタミンCは鉄分の吸収率を上げ [*4]、効率よく鉄分も吸収できるので、食事からビタミンCも積極的に摂りましょう。

妊娠中の便秘予防に役立つ「食物繊維」

妊婦のお腹の上にのせたいちご

ホルモン変化の影響や大きくなった子宮に腸が圧迫されることなどから、便秘に悩む妊婦さんは多いものです。

いちごは食物繊維が豊富 [*2]で、中でも水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は水分を吸収して便の量を増やすので、便秘の予防や解消におすすめです。

妊娠中のむくみ解消に役立つ「カリウム」

生の野菜や果物にはカリウムが多く含まれており、いちごにも含まれています。

塩 (ナトリウム)を摂りすぎると、むくみの原因になると言われています。カリウムはナトリウムの尿中排泄を促進する働きもあるため、食事から塩分を摂りすぎた場合はカリウムが作用して、ナトリウムを体外へ排出してくれます[*5]。そのため、カリウムはむくみの解消に役立ちます。特にむくみやすい妊娠中には、カリウムが含まれる食品もバランスよく摂取しましょう。

妊婦がいちごを食べるときに気を付けたい点は?

いちごをたくさん食べる妊婦

手軽に食べられ、妊娠中にうれしい栄養素をたくさん含むいちごですが、妊娠中に食べる場合は気を付けることもあります。

食べ過ぎによる糖質過多に注意

水分も多く、甘くておいしいいちごは、ついついたくさんの量を食べがちですよね。しかし、果物はブドウ糖や果糖の糖質を多く含んでいます。毎日果物を食べすぎると、糖質の過剰摂取につながりますので、妊娠中は特に気をつけましょう。

食べる前によく洗う

洗うイチゴ

いちごは果物の中でも特に病害虫の被害を受けやすく、無農薬栽培が難しい果実です。食べる前は農薬を洗い流すためにも良く洗うことが大切です。また、妊娠中に気をつけたい食中毒の原因菌などを落とすためにも、果物や野菜は必ず洗いましょう。

30秒以上しっかりと流水で洗うことをおすすめしますが、いちごは傷つきやすいので優しく洗いましょう。

妊婦のいちご狩りは大丈夫?

妊婦さんがいちご狩りに行く場合は気をつけなくてはならないことがあります。これから、いちご狩りに行く予定のある妊婦さんは参考にしてくださいね。

いちご狩りで注意したいのは農薬とトキソプラズマ

Photo by Soo Ann Woon on Unsplash

いちご狩りで収穫したいちごをそのまま食べる際に気になるのは、農薬やトキソプラズマでしょうか。

農薬に関しては、食品中に残留する農薬などが人の健康に害を及ぼすことのないように、厚生労働省は残留基準を設定しているため [*6]、過剰に心配する必要はありませんが、しっかり洗って食べることは知っておきましょう。

また、トキソプラズマは妊娠中に感染すると妊娠の経過や赤ちゃんに影響が出る可能性があるので、注意が必要な寄生虫です。トキソプラズマは猫の糞や、猫の糞が混ざった土などから感染する危険があり、いちご狩りの土が寄生虫の一種であるトキソプラズマに汚染されている可能性もゼロとはいいきれません。肉などの場合は加熱によって死滅させることができますが、そのまま食べるいちごの場合はしっかり洗って食べることが対策となります。

いちご狩りは取ったいちごをその場で洗わずに食べる場所も多いですが、妊娠中はできるだけ水道で洗い、食べることをおすすめします

トキソプラズマに関して、詳しくは以下の記事も参考にしてください。
▶︎トキソプラズマの感染経路と潜伏期間、予防の方法

まとめ

いちごには妊婦さんにうれしい栄養素がたくさん含まれています。また、洗うだけで手軽に食べられるいちごは、つわり中で食欲がないときにも役立ちます。ただし、必ずしっかりと洗って食べましょう。妊娠中は簡単に食べることのできるいちごから必要な栄養素を摂取しましょう。

(文:茅野陽 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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