妊婦にも人気のうどん!気になる糖質やカロリーは?食べ過ぎには注意?【管理栄養士監修】
調理も簡単でバリエーションもたくさんあり、季節を問わず活躍してくれるうどん。うどんも具材との組み合わせや量によって栄養バランスが大きく変わります。上手においしく食べるポイントをみていきましょう。
妊婦にうどんが人気の理由
何より調理が手軽にできるのが魅力のうどん。調理方法や食材の組み合わせで様々なバリエーションを楽しめます。
手軽に炭水化物がとれる
妊娠中に食べたい食事バランスは、妊産婦のための食事バランスガイドに記載されています[*1]。
うどんなどの主食は、妊娠していない時、妊娠初期~妊娠中期が5~7SV※、妊娠末期はそこに+1SV付加することがすすめられています。だいたい1食に2SVくらい摂れるといいですね。うどん1杯は2SVなので、手軽に1食分の炭水化物を摂れますね。
※SV(サービング)とは食事の提供量の単位
ほかの主食に比べて糖質・カロリーが少ない
食べ物は食べやすさなども違うため、単純にg(グラム)で比べることができませんが、単純にgあたりで比べるなら、うどんはカロリーが少ないといえるでしょう。
100gあたりの糖質・カロリーを比べると、ごはんは糖質37.1g・156kcal、スパゲティは糖質32.2g・150kcalなのに対し、うどん(ゆで)は糖質21.6g・95kcalとなります。
ただ、うどんは“のどごし”もよく、ついついたくさん食べがちです。油断してたくさん食べすぎることがないようにしましょう。
バリエーションが豊富で飽きない
うどんは味付け方法やトッピングのバリエーションが豊富で、いろいろな食べ方ができます。
熱いだし汁をかけた「かけうどん」や、油あげをのせた「きつねうどん」、天かすなどをのせた「たぬきうどん」は、うどんの定番ですね。ほかにも、カレーうどんや煮込みうどん、焼うどんなど、野菜や肉も同時に食べられるメニューもありますね。また、冷たくすればざるうどんやサラダうどんなど気分に合わせて調理することができます。
合わせる食材も、野菜はもちろん、たんぱく質は鶏肉、豚肉、ツナなど肉にも魚にもよく合うので、さまざまな組み合わせで楽しむことができますね。
釜玉うどんなどもありますが、生卵だけは妊娠中には控えるようにしましょう。
つわりの時期でも食べやすい
つわり中は食べ物のにおいが苦手になる人も少なくありません。
その点、さっぱりとした冷やしうどんだと、においも立ちにくいので食べやすいかもしれませんね。柑橘系のドレッシングで味付けしたり、冷やし中華のようにいろいろな具材をサラダのように乗っけることができたら不足しがちな栄養も補うことができますね。
うどんの意外な落とし穴が「塩分」
うどんは、妊娠期を通して重要なエネルギー源の1つとなりますが、意外な落とし穴が塩分です。解決できる方法も含めてみていきましょう。
うどんは麺類の中でも塩分多め
うどんは塩分が含まれており、100gあたり食塩で0.3g含まれています。ここに麺つゆなどで味付けをするので、塩分には注意が必要です。
麺つゆでさらに塩分がプラス
ゆでうどんに市販のめんつゆで味付けしたかけうどんでは食塩相当量が6.5gとなり、かなり高くなってしまいます。
食事摂取基準[*2]では、成人女性の1日の食塩の目標量を6.5g未満としています。妊娠中であってもこれにさらに追加して摂ることは推奨されていませんので、同じように考えます。
うどんの汁もすべて飲んでしまうと、1回の食事で塩分の摂りすぎになってしまいますね。1食あたりの食塩相当量は2g程度に抑えたいので、汁は残すなどしましょう。
妊婦がうどんを食べるときの注意点
うどんは、手軽に食べられてとてもおいしいものですが、より安心して食べるために、妊婦さんがうどんを食べるときの注意点をご紹介します。
うどんだけに偏らない
うどんだけでおなかがいっぱいになってしまいがちですが、バランスよく食べることも大切です。野菜やたんぱく質などの具材を入れたり、副菜に和え物やサラダなどをプラスしてみましょう。
麺つゆはできるだけ減塩タイプを使う
減塩タイプの麵つゆを使用することで塩分を抑えることができます。また、具だくさんの汁にすれば塩分の量を減らしても具材のうまみでおいしくいただくことができます。
生卵はNG!うどんの具材は火を通したものにする
うどんは加熱調理をされていますが、具材もしっかり火を通したものを選びましょう。
釜玉うどんなどで使われる生卵は、サルモネラ菌などの食中毒になることがあります[*3]。サルモネラ菌予防には75℃で1分以上の加熱が必要です。カルボナーラなど半熟状態の卵は加熱が不十分な場合があるので注意が必要です。
明太子うどんはリステリア菌の恐れも
人気のある明太子うどんですが、加熱しない明太子にはリステリア菌感染の恐れがあります[*4]。妊婦がリステリア菌に感染すると流産や死産のリスクがあるので、できるだけ控えた方がよいですね。
まとめ
手軽においしく栄養が摂れるうどん。つわりや夏バテなど食欲のないときも、手軽に食事を済ませたいときにも食材の組み合わせや味付け次第で大活躍してくれますね。塩分に気を付けていろいろなバリエーションのうどんを楽しんでみませんか。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]妊産婦のための食事バランスガイド
[*2]「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」. 文部科学省, 2020年12月
[*3]厚生労働省 広報誌「厚生労働」
[*4]食品安全委員会,リステリア