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2021年04月17日 16:25 更新

妊婦はふぐを食べても大丈夫?生のふぐ刺しや白子は?【管理栄養士監修】

冬にもっともおいしい時期を迎え、高級魚としても知られるふぐ(河豚/フグ)。おいしい魚ですが、部位によっては猛毒があることもよく知られていますよね。今回は、妊娠中にも食事を楽しみたい皆さんに押さえておいていただきたい「ふぐの食べ方や安全に関する情報」をまとめます。

妊婦もふぐを食べて大丈夫?

妊婦がフグ料理を食べるところ

一般的にフグ料理といえば刺身(てっさ)、ちり鍋(てっちり)、唐揚げ、天ぷら、あら炊きが有名で、コース料理としてさまざまなふぐの食べ方を堪能できると思います。しかし、食べ方や種類別の部位によっては妊娠中のみならず避けるべき部位もあります。

妊娠中のふぐは基本的にOK

ふぐは魚介類の中で「妊娠中に食べてOK」の分類になります。ただし、しっかり加熱しましょう。

ふぐには良質なたんぱく質が豊富に含まれ、日々の体作りに欠かすことのできない栄養素を摂りやすい食品。また低エネルギーのため、妊婦さんが比較的気兼ねなく口にしやすい種類の魚になるのではないでしょうか。

ちなみに、私たちが普段よく耳にするふぐは「とらふぐ」を指すことが多く、ふぐ類の中でもっとも多く出回っています。天然ものは高価なことが特徴です。その他に「まふぐ」、「からすふぐ」などの種類があります。


生のふぐ刺しは食べても大丈夫?

てっさ

ふぐ料理の中でも刺身など生で食べるメニューは、ふぐの味を堪能できるため人気ですね。ふぐの刺身は「ふぐ刺し」や「てっさ」と呼ばれ、ふぐの代表的な料理の1つとして親しまれています。

しかし、腸炎ビブリオなど食中毒発生の可能性もありますので、妊娠中は生の魚は食べないようにしましょう[*1]。

ふぐの白子は食べても大丈夫?

ふぐには、絶対食べてはいけない種類・部位があります。妊婦さんに限らず信頼のできる店で調理されたものを食べるようにしましょう。

食用として最もポピュラーなトラフグは筋肉も皮も白子(精巣)も食べられますが、ヒガンフグなど種類によっては、精巣に有毒成分のテトロドトキシンを含みます[*3]。

この有毒成分は水に溶けにくく、熱湯で4時間加熱しても毒をなくすことができず、ヒトにおいて死に至る摂取量はわずか2~3mgと微量[*2]。なので、妊娠中かどうかに限らず絶対に避けます。一般的にテトロドトキシンは特に卵巣と肝臓に多く含まれますが、種類によっては皮や腸、精巣、筋肉部にもみられますので、種類によってふぐの食べられる部位は変わることを知っておきましょう[*4]。

上記を参考にした上で、妊娠中にふぐの白子を食べるときは、しっかり中まで加熱してあるものにしましょうね。

魚に含まれる水銀、ふぐは大丈夫?

料理に使われるとらふぐ

多くの種類は問題ないものの、一部の魚介類では水銀濃度が高く、妊娠中の摂取量に注意が必要なケースがあります。

妊婦が注意したい「水銀」

栄養豊富な魚ですが、妊婦さん食べるときに注意したいのが水銀です。

魚の体には自然界に存在する水銀が溜まることがあるため、種類によっては妊娠中に食べ過ぎるとお腹の赤ちゃんに影響することがあります。このため、厚生労働省は妊娠中に注意したい水銀を多く含む魚をリストにして、一部のマグロなどおもに大型の回遊魚を “控えた方がいい魚” としてあげています[*5]。

ふぐは水銀量が低くて安心

水銀を多く含む魚に当てはまらないことから、ふぐは量や回数を気にせず食べられる種類の魚になります[*5]。たんぱく質やEPA、DHAなども摂れるので、魚はしっかり食べていきましょう。

妊婦がふぐを食べるときの注意点

ふぐは、ふぐ調理師免許を持つ人が調理したもので、なおかつ加熱されていたら、妊娠中でも問題なく食べられる魚ですが、いくつかの注意点があります。

食べすぎない

ふぐの唐揚げ

どんな食べ物であっても、食べすぎることによって、他の食品群とのバランスが気になります。

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食事バランスガイド」では、肉・魚などの主菜は1日に3〜5SV、妊娠中期・後期・授乳期はプラスで1SVとなるので、4~6SVくらいが1日の主菜の目安量となります[*6]。ふぐは30gで1SVになります[*7]。1食で30~60gくらいにしておくといいでしょう。

おいしいとつい食べすぎてしまいますが、食べすぎてしまった場合は、他のたんぱく質で調整したりできるといいですね。

資格をもつ調理人が調理したもの以外はNG

ふぐ中毒のおもな原因は、家庭などで知識のない素人の調理で起こることがほとんどです。ふぐを家庭で無理にさばいたりせず、信頼できる飲食店でふぐの調理資格を持った人が作ったものを食べましょう。

まとめ

ふぐ鍋

食事は妊娠中の楽しみの一つですね。同時に、食事の内容に気をつけ、お腹の赤ちゃんに栄養をしっかり届けたいと考えていることと思います。ふぐは信頼できるお店で鍋(てっちり)などを選べば、ふぐに含まれるたんぱく質とともに野菜も摂れ、衛生面でも心配がないでしょう。ぜひ安全においしいふぐ料理を楽しんでくださいね。

(文:関水芳江 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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