妊婦におすすめの野菜ジュースは?飲み過ぎにも注意?【管理栄養士監修】
野菜ジュースはお店でも手軽に購入できる身近な飲料ですが、妊娠中はお母さんの健康や赤ちゃんの発育に影響する可能性があることから、少しだけ取り扱いや摂取方法に注意が必要です。今回は、野菜ジュースのメリットや栄養がとれるのか、などについてお話していきます。
妊婦中の野菜ジュースのメリット
野菜ジュースは健康的なイメージがありますが、妊娠中だからこそのメリットはあるのでしょうか。
手軽に栄養補給ができる
バランスの良い食事をとろうと思っても、なかなか難しいですよね。
妊娠中の食生活では、不足しがちなビタミン・ミネラルを「副菜」でたっぷりととることや、乳製品・緑黄色野菜・豆類・小魚などでカルシウムを十分にとることが推奨されています[*1]。
しかし、必要だとわかっていても、十分な量の野菜をとることはなかなかできないものです。とくに妊娠中は、つわりがあったり、立ち作業がつらかったりで、料理するのが大変なこともあるでしょう。そんな時に野菜ジュースから少しでも栄養をとれることはうれしいですね。
もちろん、野菜の栄養のすべてをジュースからとることができるわけではありませんが、例えば間食としてとる飲み物には甘い嗜好飲料より野菜ジュースを選ぶなど、ちょっとした工夫ができるといいですね。
つわり期でも栄養をとれる
つわりは半数以上の妊婦さんが経験するとされていて、個人差はありますが、一般的には起床時などに吐き気やおう吐など、主に消化器の不快な症状がみられます。人によっては食べ物はおろか、飲み物を飲んでも吐いてしまうということもあるようです。
おう吐がある場合は特に水分補給と栄養補給を心がけることが大切です。その際に、水などの他に補給しやすい野菜ジュースを活用してもいいでしょう。「これなら飲める」という飲料があると、心理的にも安心ですね。
つわりの時期、一時的な栄養のアンバランスが起きても胎児の発育に大きな影響を与える心配はないので、気持ちと体を少しでも楽にして、つらい時期を乗り越えてくださいね。
つわりについては以下の記事でくわしく解説していますので、参考にしてください。
▶︎つわりの時期はいつから? つらいピーク時期の対処法
▶︎つわりがあるときの食事のコツ
▶︎つわりの終わりは妊娠何週?
▶︎つわり中の仕事はどうした?
妊婦中の野菜ジュース、注意したい点は?
ここでは野菜ジュースを取り入れる際に気をつけてほしいポイントについてお話しします。
野菜ジュースだけで野菜不足を防止できるわけではない
野菜からは様々な栄養素をとることができますが、特にビタミンや食物繊維が豊富です。しかし、野菜ジュースを加工する工程において、生野菜と比較して「ビタミンC」や「食物繊維」など失われがちな成分があるため、水分補給も含めた補助的な摂取と考えましょう。
「野菜ジュースだけで1日分の野菜がとれる」というよりも、「食事で足りない分を補える」と考えられるといいですね。
市販の野菜ジュースは食塩・砂糖に注意
野菜ジュースは、おもに野菜のみで作られているものと、野菜と果物が入っている飲みやすいものとに大別されます。
市販の野菜ジュースなどの裏面には、栄養成分表示が記載されています。栄養成分をよく見たうえで食塩、砂糖が入っていないものを選べるといいでしょう。もし入っていても、他に食べるものとのバランスを考慮した上で、飲み切りサイズを1パック、200ml程度にしておくといいですね。
材料は必ずよく洗ってから使う
作る際に大切なことは衛生面。野菜ジュースは生の食材を使うことが多いので、つけない、ふやさない、やっつけるを念頭に野菜や果物を取り扱いましょう。食中毒を防ぐ為にも、食材はよく洗いましょう。
妊婦におすすめなのは手作り野菜ジュース
妊娠中や授乳中の女性は、特にビタミン・ミネラルの摂取量が不十分です[*1]。日本人女性にとって摂取量が不足しがちなビタミン・ミネラルとしては、葉酸と鉄が挙げられます。
葉酸は、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害の予防のため、妊娠前から充分に摂取していることが大切です。また、鉄は酸素の運搬に必須のミネラルであり、妊娠期には胎児の成長やさい帯・胎盤中への鉄貯蔵、循環血液量の増加などに伴い需要が増加するため、妊娠前よりさらに多くの鉄摂取が必要です。
野菜ジュースを手作りすれば、とりたい栄養素を含む材料を選べるだけでなく、フレッシュな味を楽しめ、自分好みの味にできます。ポイントを押さえて栄養を効率よく摂取したいですね。
手作り野菜ジュースにおすすめの野菜
野菜をたっぷり使った手作りジュースはオススメです。
緑黄色野菜はβ-カロテンをはじめ葉酸、カルシウム、鉄などの供給源となるため、積極的に摂取したいものですが、1日の野菜の目標量は350g以上と多いので、ジュースで少しでも手軽に摂取できるといいですね。飲みにくい場合は粉末の生姜やレモンなどを活用しましょう。
オススメの野菜は、葉酸や鉄を多く含むものです。
・ほうれん草(サラダ用などがオススメ)
・モロヘイヤ
・水菜
などが使いやすいでしょう。
バナナやヨーグルトなどと一緒にスムージー風にすると苦みを感じにくく、飲みやすくなります。
手作り野菜ジュースにおすすめの果物
野菜だけだと少し飲みにくいという場合は、果物などと一緒にジュースにすると飲みやすくなります。果物はビタミンの供給源として手軽にとれる食材です。購入しやすい身近な果物を毎日とることを心がけたいですね。
オススメの果物は、ビタミンCやカリウム、食物繊維などを多く含むものです。
・いちご
・みかん
・グレープフルーツ
・りんご
・バナナ
・キウイ
など、お好みで加えてみてください。
いちごは葉酸を多く含み、また鉄の吸収を高めるビタミンCも入っているので、特におすすめです。
妊娠中の野菜ジュースに関するよくある疑問
いざ作るとなると、食材の相性やどれくらい摂取したらよいかの目安がわからない……なんてことも。そんな疑問に答えていきます。
妊娠中の野菜ジュースの適切な摂取量は?
特別に野菜ジュースの上限はありませんが、野菜ジュースからのみ野菜や果物を摂取するということは避け、様々な食材から栄養補給するという意識を持てると良いでしょう。また、市販の野菜ジュースを選ぶ際は栄養成分表示もチェックするといいでしょう。
「妊産婦のための食事バランスガイド」では、副菜は通常5〜6単位(SV)としていますが、妊娠中期以降はさらに+1単位追加したほうがいいとされています。
飲み切りサイズ(200ml)1本が1SVといわれています[*3]。しかしながら、あくまでも補助的なものとして考えて、1日1本(200ml)程度にとどめておくといいでしょう。
野菜ジュースの飲み過ぎでビタミンAの過剰摂取になる?
妊娠中はビタミンAの過剰摂取には気を付けたいものですが、野菜などの植物性食品に含まれるのはプロビタミンAであり、からだの中で必要な分だけビタミンAにかわるので、野菜の場合はビタミンAの過剰摂取の心配はありません。
気を付けたいのは、レバーなどの動物性食品でビタミンAを多く含む食品です。また、ビタミンAを含むサプリメントは妊娠中は摂取しないようにしましょう。
ただし、過剰摂取の心配がないとはいえ、野菜ジュースばかりを大量に飲みすぎると、食事量が減って栄養バランスが崩れたり、ジュースの種類によっては糖分のとりすぎになるリスクもあります。ほどほどにしておきましょうね。
ミキサーとジューサー、使いやすさは?
ミキサーは食材を攪拌するので、野菜や果物の繊維などをすべて摂取することはできますが、少し粘度が高くなるため、飲みにくいようであれば水分を足しましょう。
ジューサーは濾す機能がついていることが多いので、比較的さらっとしたジュースを作ることができますが、一方で食物繊維を十分にはとることができません。
仕上がりのお好みなどで選べるといいでしょう。
まとめ
十分な量をとることがなかなか難しい野菜。妊娠中に必要なビタミン・ミネラルを補うために、ジュースで手軽に野菜を摂取できたらいいですよね。ただ、糖質なども気になるので、できたら自分で作ることがおすすめです。ビタミンや食物繊維もとることができますよ。好みの配合をいろいろ試してみると、日々の食生活の楽しみが増えるかもしれませんね。飲み物の選択肢の1つとして活用していきましょう。
(文:シライカヨコ 先生/監修:川口由美子 先生)
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます