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2021年03月26日 11:30 更新

妊婦はさばを食べても大丈夫? 知っておきたい妊娠中によい魚と避けたい魚【管理栄養士監修】

スーパーなどで比較的安く手に入り、いろいろな食べ方のできる「さば」。青魚のさばは体にも良いと言われますが、妊婦さんが食べてもいいのでしょうか。さばの良い点や、食べる場合の注意点とおすすめの食べ方などをまとめました。

妊婦にはとりたい魚と避けたい魚がある

さまざまな栄養素が含まれている魚。お母さんの体にもおなかの赤ちゃんの成長にもいい食材ですが、妊婦さんが積極的に食べたい魚もあれば、食べる量に注意が必要な魚もあることを知っておきましょう。

妊婦が気をつけたいのは「水銀が多い魚」

魚介類のイメージ
Lazy dummy

魚介類は、妊婦さんに必要な栄養バランスのよい食事には欠かせない食材です。ただ、魚介類には水銀が含まれているものもあるので、妊婦さんが魚を食べる際は注意するように、と厚生労働省も注意を促しています。

通常、水銀は人の体に入っても代謝・排出されます。でも、おなかの赤ちゃんは水銀を排出することができないため、お母さんが水銀含有量の多い魚をたくさん食べ続けていると、赤ちゃんは水銀の影響を受けることがあると考えられます。

ただし、厚生労働省が推奨している摂取量の目安を超えてしまったとしても、おなかの赤ちゃんにすぐに影響が及ぶということではありませんから、心配し過ぎないでくださいね。

注意したい水銀、さばは大丈夫?

魚には水銀が含まれていると言いましたが、含有量は種類によって違います。日本人が1回の食事で食べる刺身や切り身などの魚の平均的な量は、一人前で約80g[*1]とされていて、その中に含まれる水銀の量によって、どの魚をどれくらいまで食べていいかの目安があります。

厚生労働省では、何種類かの魚を水銀の含有量が多い「注意が必要な魚」としていますが、さばは、「特には注意が必要でない魚」です。健康的な食生活のためにバランスよく食べるようすすめています。

妊婦にさばがおすすめな理由

さばは栄養が豊富で、お母さんの健康だけでなくおなかの赤ちゃんの発育・発達にも良いため、妊娠中に食べるにはとてもおすすめの魚です。

妊娠中にとりたい栄養が豊富

新鮮なさばのイメージ
Lazy dummy

魚には、体を作るのに必要な良質のたんぱく質のほか、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサヘンタエン酸)という良質な脂質の一種の脂肪酸が豊富に含まれています。

DHAとEPAは、私たちの体内では合成できない必須脂肪酸の1つでn-3系脂肪酸と呼ばれ、動脈硬化を予防したりLDLコレステロールを減らしたりする働きがあります。さばにはそのほか、ビタミンD、B6、B12、鉄などの栄養素も含まれていて、とても栄養豊富です。

赤ちゃんの発達にも好影響

さばに含まれるDHAとEPAは、脳の神経組織を作るうえでも重要です。さばなどの魚を積極的に食べることで適切な量のDHAやEPAが摂取できていると、早産や低出生体重児の確率が低下するとも言われています。

また、特にDHAは脳の神経シナプスや網膜の光受容体という場所に多く存在しているため、妊娠中にDHAを多く摂取すると、赤ちゃんの脳や網膜の健全な発達を促すとされています。

なお、DHAやEPAのような必須脂肪酸の摂取量は、妊婦さんの場合は1日に1.6gを目安に、と厚生労働省は示しています。100gあたりに含まれるDHAの量は塩さばが2.0g、さばの水煮缶が1.3g、さばの開き干しは2.7gもあります[*2]。こうしたさばを100g食べるだけで、1日に必要な必須脂肪酸がほぼ摂取できるのですから、さばは特にメニューに取り入れたいですね。

産後ダイエットにもさばがおすすめ

京都大学の研究グループは、魚を食べることで体脂肪が燃焼するというメカニズムを解明しました。この研究グループの実験により、魚に含まれるDHAやEPAは体脂肪の消費を促すということがわかったそうです[*3]。

DHAやEPAが豊富に含まれているさばを出産後も積極的に食べるようにすれば、お母さんの産後ダイエットにも効果が期待できるのです。

妊婦に必見のさばの食べ方

DHAやEPAは脂質なので、さばに含まれているDHAやEPAを多く摂取するには、脂を落とさないような調理方法で食べることがポイントです。

脂も一緒にとれる調理法で食べる

焼きさばのイメージ
Lazy dummy

さばは、グリルで焼くと脂が下に落ちてしまうので、DHAやEPAをより多く摂取するためにはフライパンで焼くといいでしょう。生のさばを味噌煮や竜田揚げなどにしても、脂をしっかり摂取することができますね。

さばの缶詰で効率的に栄養補給

さばからDHAやEPAなどの栄養素を摂取したいと思っても、妊娠中は料理をするのがつらいときもありますね。そんなときには、さばの缶詰を利用してみてください。

さばは塩さばや開き干しなどの加工品を除くと、水煮やみそ煮などの缶詰のほうが生で食べるよりさまざまな栄養素を多く摂取できます。日頃から缶詰を活用すれば調理の手間も省けますし、手軽に効率よくさばの栄養を摂取することができますよ。

さば缶の身をほぐしてツナのように使ってサラダにしたり、混ぜご飯や炊きこみご飯にすることもできます。

お寿司など生食には注意

さばはしめさばなど、生で食べることがありますが、妊婦さんはできるだけ生のまま食べないようにしましょう。さばだけでなく、さまざまな生魚には腸炎ビブリオなどの細菌がいて、食中毒の原因になります。

特に、さばにはアニサキス幼虫が寄生していることがあり、食べると胃壁や腸壁に幼虫が入りこんで、激しい下腹部痛をともなうアニサキス症という食中毒を引き起こします。

腸炎ビブリオは十分に加熱し、アニサキスはしっかり冷凍するか十分な加熱で死滅します(注1)。食中毒予防のため、魚介類は新鮮なものを選び、生ではなくしっかり加熱してから食べましょう。


(注1)腸炎ビブリオは60℃で10分以上の加熱、アニサキスは-20℃で24時間以上の冷凍か、70℃以上の加熱、または60℃なら1分の加熱で死滅します。

まとめ

さばの定食のイメージ
Lazy dummy

妊娠中はDHAやEPAなどの栄養が豊富なさばを、積極的に食べたいものです。ただ、食べる際には生のまま食べないようしっかり加熱調理し、手軽に使える缶詰も取り入れて栄養バランスのとれた食生活を目指しましょう。

(文:村田弥生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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