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2021年03月30日 08:30 更新

妊婦はサーモンを食べてもいい?適量は?生魚でも大丈夫?【管理栄養士監修】

妊婦はサーモンを食べてもいい? 適量は? 生魚でも大丈夫? サーモンはお寿司のネタやお刺身としておいしい魚ですね。ただ、生で食べることが多いので、食べていいのか気になる妊婦さんもいるのでは? そこで、妊娠中にサーモンを食べていいのか、食べるならどれくらいまでがいいか、などをまとめました。

妊婦はサーモンを食べても大丈夫?

魚(魚介類)によっては、水銀など摂りすぎるとよくないものが含まれているため、妊娠中は食べるときに注意が必要な種類があります。でも、サーモンはそのような心配がなく、妊娠中も安心して食べられます。

サーモンは妊娠中でもOKの魚

焼き鮭のイメージ
Lazy dummy

私たちがふだん食べている魚の多くに自然界にある水銀が含まれています。魚の種類によって含まれる水銀量には違いがあり、水銀含有量が高い魚を妊娠中にたくさん食べ続けていると、胎盤を通して水銀がおなかの赤ちゃんの体内に取り込まれてしまい、影響を及ぼすことがあると言われているのです。

一方、サーモンは水銀含有量が少ないため、厚生労働省が「特には注意が必要でない」としており、妊婦さんでも心配なく食べられます[*1]。また、妊娠中は過剰摂取に気をつけたいビタミンAに関しても、サーモンにはそれほど多く含まれていません。

サーモンのDHAは赤ちゃんにも好影響

おなかの赤ちゃんが元気に育つためには、良質な脂質が不可欠です。なかでも、必須脂肪酸という脂質の中のアラキドン酸、DHAは、赤ちゃんの脳の神経組織を作るのにとても重要なものです。また、必須脂肪酸を妊娠中にたくさん摂取することで早産や低出生体重児のリスクも減ることがわかっています。

これらは魚に多い栄養素で、サーモンにもたくさん含まれています。赤ちゃんの発育・発達に欠かせない必須脂肪酸ですが、私たちの体内では生成することができません。サーモンなどの魚介類を積極的に食べるよう、妊娠中は特に心がけたいですね。

生のサーモンには注意が必要?

サーモンは生で食べることも多いのですが、妊婦さんは食中毒に注意が必要です。

燻製サーモンはリステリア感染の危険が

燻製サーモンのイメージ
Lazy dummy

脂ののった生サーモンはとてもおいしいのですが、生魚はどんな種類であっても腸炎ビブリオなどによる食中毒の心配があるため、妊婦さんはサーモンの生食を避けましょう。

生サーモンでリステリアの発症はあまりみられませんが、スモークサーモン(燻製サーモン)など加工されて日持ちのするものは、リステリア感染の心配もあります。

リステリアに感染しても、健康な大人なら症状が重くなることはまれです。でも、妊婦さんが感染すると胎盤やおなかの赤ちゃんにも感染し、流産や早産の原因になったり、生まれたばかりの赤ちゃんに影響が出たりすることがあるので、要注意です。

お寿司の炙りサーモンにも注意

生はNGでも、お寿司の炙りサーモンなら火が通してあるので大丈夫、と思うかもしれませんね。でも、炙りサーモンで加熱しているのは表面だけですから、食中毒の可能性はゼロとはいえません。

食中毒を防ぐには、しっかり火を通すことが必要なので、妊娠中は十分に加熱調理したサーモンを食べるようにしてくださいね。

妊婦がサーモンを食べる際のポイント・注意点

妊婦さんがサーモンを食べるときは、次のようなポインに注意しましょう。

十分に加熱して食べる

サーモンのソテーのイメージ
Lazy dummy

サーモンには、腸炎ビブリオという細菌やアニサキスという寄生虫など食中毒の原因が付着する可能性がありますが、十分に加熱することで死滅させることができます

妊娠中に食中毒を起こすと、原因菌によってはおなかの赤ちゃんへの影響も心配されます。サーモンをはじめ魚介類を食べるときには、中心まで火が通るよう加熱してから食べることが大切です(注1)。

例えば、サーモンは軽く小麦粉をふってバターで焼いてムニエルにしたりすることで、安心して食べることができます。

(注1)腸炎ビブリオは60℃で10分以上の加熱、アニサキスは-20℃で24時間以上の冷凍か、70℃以上、または60℃なら1分の加熱、リステリアは65℃で数分以上の加熱で死滅します。

塩分は控えめにする

サーモンは味が淡白なので、食べるときには調味料でしっかり味をつけることが多いですね。でも、妊娠中はただでさえむくみやすいので、できるだけ塩分控えめにするのが大切です。

厚生労働省では、成人女性が1日に摂取する塩分の基準を「6.5g未満」としています[*2]。しょうゆは大さじ1杯で約2.6~2.9g、みそは大さじ1杯で約2gの塩分が含まれています[*3]。

サーモンの味付けをするときには、しょうゆやソースをかけるだけではなく、レモン汁や酢などを足したり、「減塩」「塩分控えめ」などと表示されたものを使ったりするといいですね。

妊娠中のサーモンに関するよくある疑問

加熱すれば妊娠中にも食べられるサーモン。量はどれくらいならばいいかなど、サーモンを食べることに関する質問にお答えします。

妊婦が食べていいサーモンの量は?

水銀の心配のないサーモンには、1日の摂取量の上限は特に決められていません。とはいえ、毎日サーモンばかり食べるのは栄養バランスが偏る心配があります。

妊娠中の食生活で何より大切なのは、栄養バランスのいい食事を適切な量だけ食べることです。厚生労働省と農林水産省は、「妊産婦のための食事バランスガイド」で、妊婦さんが1日に何をどれくらい食べたらいいかの目安を示しているので、参考にしてみてください。

▶︎厚生労働省:妊産婦のための食事バランスガイド

妊娠中に生サーモンを食べてしまったらどうすればいい?

サーモンパスタのイメージ
Lazy dummy

生のサーモンを一度食べたからといって、その後に体調に変わりがないなら心配し過ぎなくても大丈夫です。それ以降は、しっかり加熱してから食べるようにしましょう。

ただし、生サーモンを食べた後で、激しい腹痛、下痢、発熱、吐き気などの症状が見られるときは腸炎ビブリオやアニサキスによる食中毒が疑われます。このようなときは、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

まとめ

サーモンソテーとサラダのイメージ
Lazy dummy

サーモンには良質なたんぱく質やDHAなどが豊富に含まれていて、妊婦さんでも安心して食べられる魚です。しっかり加熱して上手にメニューに取り入れるといいですね。

(文:村田弥生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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