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2021年04月29日 17:20 更新

妊婦はたらこを食べていい?気になる栄養素と注意点【管理栄養士監修】

妊娠前は生で食べることが普通だった食品でも、赤ちゃんへの影響を考えると不安や疑問が出てくることもありますよね。魚の卵巣が主原料の「たらこ」もその一つではないでしょうか。今回は妊娠中のたらこについて、食べる際の注意点などをお伝えします。

妊婦はたらこを食べていい?

たらこはスケトウダラの卵巣を塩漬けにしたもので、非加熱の加工食品です。火を通さずそのまま食べてもおいしい食品ですが、妊娠中にたらこを生で食べていいのかについて解説していきます。

たらこは妊婦にうれしい栄養も含まれる

明太子ご飯と魚の献立

まずはたらこの栄養素について触れておきましょう。

おにぎりやパスタとの相性がよく、嗜好品のイメージが強いたらこですが、たんぱく質の他にビタミンなどの栄養素も豊富に含まれています。以下にたらこに特に豊富に含まれる栄養素を挙げます。

・ナイアシン(生たらこ100g当たりナイアシン当量54.0mg)[*1]
ナイアシンは水溶性ビタミンB群の一つです。糖質や脂質の分解、たんぱく質の代謝、エネルギー産生などに関わる働きがあります。

・ビチオン(生たらこ100g当たり18.0μg)[*1]
ビオチンはビタミンB群に属する水溶性のビタミン。エネルギーを作りだす手助けをするほか、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康にも役立っています。

・ビタミンE(生たらこ100g当たりα-トコフェロール7.1mg)[*1]
ビタミンEは脂溶性で、強い抗酸化性作用があります。体内の脂質酸化を防ぎ、血中のLDLコレステロールの酸化も抑制。また、細胞の酸化を防ぐため老化防止にも効果があります。

とはいえ、これらの栄養素を摂るために……とたらこを積極的に食べる必要はありません。他の食品と組み合わせて上手に摂っていきたいですね。

「リステリア菌」には注意が必要

生たらこ

意外と栄養が豊富で、ご飯のお供として好む人が多いたらこですが、妊娠中は摂り方には少し注意が必要です。というのも、日本で流通するたらこなどの魚卵製品もリステリア汚染が懸念される食品だからです。

リステリア菌の食中毒リスクは、加熱殺菌処理されていない乳を使ったナチュラルチーズ(外国産に多い)や、生ハム、スモークサーモンといった加工食品についてよく言われますが、たらこについてもリスクがゼロではありません。

妊娠中にリステリアに感染してしまうと、胎盤を通じて赤ちゃんも感染する可能性があり、流産などの恐れがあります[*2]。リステリアは食中毒菌の中でも特に、感染した場合に赤ちゃんへの影響が心配されるので、妊婦中にたらこを食べるときは火を通して食べるようにしましょう。

塩分過多にも注意が必要

妊娠中はホルモンや大きくなった子宮の影響でむくみやすくなっています。それに加え、塩分の摂りすぎもむくみの原因になります。

女性の1日の食塩摂取目標量は6.5g未満[*3]ですが、生たらこには100g当たり4.6gの食塩が、同様に焼きたらこでは5.3gの食塩が含まれています[*4]。塩分の摂りすぎにならないよう、食べる量にも気をつけましょう。

妊娠中におすすめのたらこの食べ方

妊娠中にたらこを食べるときは、食中毒対策として火を通したレシピを楽しむのがおすすめ。また、塩分の摂りすぎにならないよう食べる量に気をつけ、他の調味料を少なくするなども心がけるといいでしょう。

目安となる摂取量を守って食べる

焼きたらこ

明確に、「妊娠中のたらこは1日何gまで」といったものはありませんが、塩分を基準に量を考えるといいでしょう。

1日の食塩の目標は6.5g未満なので、1食当たりで食塩2gほどを目指します。

たらこ1本でも2g程度の塩分量となります。ほかの料理に含まれる塩分量を考慮すると、1食でたらこ1本を食べると塩分を摂りすぎてしまうでしょう。2~3回に分けて食べたり、家族と分けて食べたりして、調整しましょう。

また、焼きたらこにしょうゆ等で味つけをするとさらに塩分量が増えてしまうので、味付けには十分に気を付けたいものです。

たらこを使ったレシピを作るなら、ほかの料理も塩分を抑えるなど、全体のバランスを考えることも大切。生姜や青じそなどで風味を足して塩分の多い調味料の使用量を抑える減塩テクはおすすめです。

鮮度のよいたらこを食べる

食中毒のリスクを下げるため、新鮮なたらこを食べるようにしましょう。スーパーなどで購入する場合は、皮にハリやツヤがあるもの、中身の粒のひとつつひとつがはっきりしているものを選ぶといいですよ。水っぽいものや、ダラリとしているものは、鮮度が落ちている可能性があるので避けたほうが安心です。

生で食べずに焼くなど火を通す

たらこスパゲッティ

前述したとおり、たらこを生で食べることはリステリア食中毒のリスクがあります。リステリア菌は、中心部75℃以上1分間の加熱で殺菌できます。妊娠中はたらこは生ではなく、火を通した焼きたらこなどを食べましょう。

また、塩気とうまみのあるたらこは、ほかの食材と一緒に炒めるだけで簡単においしい一品が作れます。パスタの具材を炒める時に加えたり、炊き込みご飯にしたりするのもおすすめです。

妊娠中のたらこに関するよくある疑問

「生のたらこを食べてしまったら?」「ほかの魚卵は?」など、たらこにまつわるよくある疑問についてもまとめました。

生のたらこを食べてしまったらどうすればよい?

生のたらこ

リスクなどを知らずに食べてしまったならば、これから気をつけるようにしましょう。

生のたらこを食べたとしても必ずしも食中毒になるということではないで、心配な時はかかりつけの産婦人科に相談してみましょう。もし体の不調が現れた場合は、すみやかに医療機関を受診してください。

明太子などほかの魚卵も注意が必要?

明太子はスケトウダラの卵巣をとうがらしベースの調味料で熟成させたもの(辛子明太子)。たらこ同様に明太子も、サケの卵であるいくらや筋子もリステリア菌に注意が必要です。

いくらや筋子は加熱するレシピがあまり一般的ではありませんが、たらこや明太子は加熱すると生とは違ったおいしさがあるので、妊娠中は加熱をして食べることを心がけましょう。

まとめ

焼きたらこ

たらこは、塩分が多い食品なので食べる量には気をつけましょう。妊娠中は、食中毒の危険性を回避するために生で食べるのは避け、火を通したレシピや焼きたらこを楽しむのがいいでしょう。

ちょっとした味のアクセントとして、調味料のようにして使うのがおすすめです。焼きたらこをごはんに少し散らしてみたり、キャベツなどの野菜と一緒に炒めるのもおすすめですよ。

(文:オノカヨ/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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