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2022年01月26日 14:15 更新

妊婦が明太子を食べるなら○○すればOK!注意点と食べていい目安量【管理栄養士監修】

ごはんのお供にも、麺類に加えてもおいしい「明太子」。妊娠中は魚介類の食べ方に注意が必要という話をよく聞きますが、明太子は食べていいか判断に迷う人も多いのではないでしょうか。生で食べてもいいのか、1日にどれくらい食べていいのかなど、妊娠中に明太子を食べるときの注意点などをまとめました。

妊婦は明太子が要注意な2つの理由

スケトウダラの卵巣を塩や香辛料に漬けて熟成させた加工食品である明太子。多様な栄養成分を含みますが、生で食べることや塩分の多さには注意が必要です。

明太子は妊婦に必要な栄養も豊富

意外と栄養豊富な辛子明太子

妊娠中はおなかの赤ちゃんの発育のために、いろいろな食材からバランスよく栄養素を摂ることが大切です。でも、妊婦さんの食生活を調査した報告書によると、妊娠中の栄養摂取量の実態は、目標とされている日本人の食事摂取基準に比べて少ない傾向があるといいます[*1]。

たとえば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などが不足しがちです。

明太子には、この不足しがちな栄養素のうち、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などが含まれています。

ただし、食べ方には注意が必要になります。まずは「リステリア菌」についてチェックしていきましょう。

1. 生だと要注意な「リステリア菌」

妊娠中に、明太子を生で食べるのは注意が必要です。

リステリア食中毒の原因になる主な食品は、ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテなどですが、生の明太子やたらこからリステリア菌が検出されたという報告もあります。

妊婦さんがリステリア菌に感染すると、胎盤や胎児へ感染して流産や死産を引き起こしたり、新生児へ影響することがあります。リステリア菌は加熱(中心部75℃以上、1分間)で死滅させられ、感染を防げます。妊娠中はできるだけ火を通して食べる方が安心ですね。

妊娠中は特に「生もの」には注意しましょうね。

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妊娠中の生ものについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
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関連記事 ▶︎妊婦はいくらを食べてはいけないって本当?注意したいリステリア菌とは
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2. 妊娠中のむくみの大敵「塩分過多」

食事をする妊婦

明太子やたらこは塩分の多い商品なので、摂りすぎには気をつけましょう。塩分を摂りすぎると、むくみの原因にもなります。妊娠中はただでさえむくみやすいので、気をつけたいですね。

成人女性は1日当たり食塩6.5g未満が目標量[*2]とされているので、1食当たりの塩分は2gを目指せるといいでしょう。明太子35g(小さめ1本)で2gの塩分があります[*3]。塩分は他の料理や食品からも摂取するので、明太子を食べるときは、その量や他の料理の塩分量を考えて、塩分過多にならないよう注意しましょう。

妊娠時の明太子のおすすめの食べ方

明太子はそのまま食べてもおいしい食品ですが、これまで見てきたとおり、妊娠中は食べ方に少し気を付けたいですね。そのポイントをまとめました。

目安量|15gぐらいにしておくと安心

明太子の量の目安は、塩分をベースに考えるといいでしょう。

1食当たりの塩分目標(食塩で2gに収める)から考えると、明太子15gで食塩1gとなるので、そのぐらいでやめておけるといいですね。

明太子以外にも、例えばパスタの味付けや、和食の場合は味噌汁など、食事の中で塩分は何かと多く摂りがちです。明太子を食べ過ぎてしまったら、スープをやめる、ドレッシングは控える、など他で塩分をとらないように気をつけましょう。

調理法|生で食べずに焼くなど火を通す

焼いた明太子

前述したとおり、明太子を生で食べることによるリステリア食中毒の危険はゼロではありません。リステリア菌は中心部75℃以上、1分間の加熱で死滅します。通常の調理で殺菌できるので、妊婦さんが明太子を食べるときは加熱をしましょう。

それだけで旨味の強い明太子は、シンプルに単独で焼き明太子にしてもいいでしょう。グリルなどで焼いてもいいですが、電子レンジで加熱するとはじけてしまうので、2cm程度の輪切りにして耐熱皿にのせ、ラップをして500Wで20秒ずつ様子をみながら加熱しましょう。

おすすめは、野菜と一緒に炒めることです。もやしやキャベツと一緒に炒めると、明太子の塩分と旨味だけで、他の味付けがなくてもおいしく食べられます。炊き込みご飯にしたりしてもおいしいですね。いろんな食材と相性がよく、多彩なアレンジができるので、火を使った明太子料理はおすすめですよ。

選び方|気になる人は無添加・無着色のものを

お腹の赤ちゃんへの影響を考えると、食品に含まれる添加物が気になる人もいますよね。ただ、食品添加物は本来、その食品の品質などを保つのに必要と考えられて添加されているもの。健康に悪影響がない濃度での使用が国により定められています。そのため、過度な心配は必要ないでしょう。

ちなみに、明太子に使われる食品添加物の代表は亜硝酸ナトリウムと着色料ですが、これらも食品衛生法で認められているものです。あまり心配しすぎなくて問題ありません[*5]。

気になる人は、無添加・無着色のものを選ぶといいでしょう。

妊娠中の明太子に関するよくある疑問

明太子に関する、よくある疑問についても、チェックしていきましょう。

明太子パスタ・おにぎりなどの加工品は大丈夫?

生の明太子を使ったパスタ

明太子パスタやおにぎりは、多くの場合、明太子が加熱されていないと思われます。リステリア菌に汚染されている可能性は高くはありませんが、念のため避けておくと安心でしょう。

たらこと明太子、同じような注意が必要?

たらこも明太子もスケトウダラの卵巣からできています。たらこ=スケトウダラの卵を塩漬けにしたもの、明太子=とうがらしベースの調味料で熟成させたもの(辛子明太子)。そのため、たらこも明太子同様、加熱して「焼きたらこ」にして食べた方が、食中毒のリスクは低くなるでしょう。

たらこは明太子よりも食塩は少ないですが、食べすぎには注意しましょう。

まとめ

焼き明太子のおにぎりを食べる女性

つわりの時など、ちょっと味が濃いものであれば食べられるという人も珍しくありません。そんな時、食欲を刺激してくれる明太子を手に取ることもあるでしょう。妊娠中に明太子やたらこを食べるときは食中毒のリスクを減らすために、生ではなく火を通してから食べましょう。焼けばOKです! ただし、火を通しても塩分の摂り過ぎにならないように、調味料のように考えて少しだけにしておきましょう。また、食品添加物はそれほど気にする必要はありませんが、どうしても気になる人は無添加・無着色の明太子・明太子を選ぶのもいいかもしれませんね。

(文:オノカヨ/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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