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オタクも“夢の国”をつくる一部。ディズニーに全てをかけていた話

#令和アラサー女子の推し活事情

瑞姫

近年話題の「推し活」。アラサーの働く女性という、おそらく「推し活」を一番謳歌できるであろう層が実際にはどのように推し活を楽しんでいるのか? 「推し」がいないライターが「推し活」を楽しむ女性たちにインタビューしました。

遠征オタクの金銭事情

とはいえ、どうしても気になってしまうのがお金のこと。三重から行くとなるとかなりの出費になるだろうが、実際にどれくらい推し活に使っているのか。

野暮なことだとは思いつつも聞いてみると、まいさんは「コロナ禍でダンサーさんたちも結構辞めてしまって、ショーも完全な状態ではできていないので今はそんなに行っていないんです」と言いながら、コロナ前のディズニーに一番通っていた頃のことを話してくれた。

「毎月平均10万円ほどは使っていたのですが、一番ピークでお金を使っていたのが、コロナ禍直前にやっていた『ベリー・ベリー・ミニー!』というイベント。その中でも『イッツ・ベリー・ミニー!』という、ミニーちゃんが過去のショーの曲を当時の衣装を着て踊ってくれるショーを見るためにお金をかけていました。

それは抽選だったんですけど、私はチケット運がすごく悪いので、当たらないんですよ。なので、唯一自由席がある1回目の公演で見るためにディズニーホテルに泊まって、ハッピー15エントリー(※)の制度を利用してショーの席をゲットしたり、あとはショーの席を用意してくれているバケーションパッケージを購入したりしていたので、15~20万円は使っていましたね」

※ディズニーホテルに宿泊すると東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシーの開園時間前に入園できる特典のこと。

その額に驚いていると、まいさんは「コロナ対策で夜行バスに乗るのもためらうような時期だったので、行く回数を減らしてた時期ではあった」と補足してくれた。さらに、大好きなそのショーは、コロナ禍に伴うパーク閉園で終わってしまったそう。

▲提供写真

「本当は毎週末土日にディズニーに行って、1カ月に一回は有給を使って平日も行こうと思ってたんです。それをしてなかったから20万くらいに抑えられていたんですが、していたらもっと使っていたと思います(笑)」

貯金を切り崩してでも、大好きなショーには通いたかったというまいさん。それだけお金を惜しまずに使えるのは、他ならぬ“推しへの愛”もあるが、普段の生活で節約していたから。

「友達と遊びに行ったり、飲みに行ったり、服を買ったり……そういうことをしていなくて。ディズニーにお金を使っていたので、お金が無い状態が普通だったんですが、今思い返しても“推し活のために他をがまんする”という意識は無かったですね。自然とそうしたいからそうしていました」

自然と自分の中に生まれた優先順位が、自然な節約に繋がったのだろう。インタビュー中、ディズニー愛が溢れるこれまでの生活を聞いていると、それが多くを語らなくとも理解できた。

好きな時に会えるからこそ守りたい“Dオタルール”

インタビューも終盤に差し掛かる頃、まいさんに“推し活”のルールはあるのかと聞くと、「当然なんですが、パークのルールは絶対に守って、開園時にも走らない」「ワンデーパスで来ているゲストの迷惑にならないようにする」などを徹底していることを教えてくれた。

「オタクって、多分どの界隈でも一部のオタクのせいで何か印象悪くなったりすることも多いと思うんです。だから、人一倍ルールには気をつけるようにしています」

たしかに、好きが先行してしまい、ルールを破ってしまうオタクというのはどの界隈でも一定数存在してしまうのは事実だ。だからこそ、多くの人がそうではないことを伝えるため、好きだからこそ、当然のことだが、ルールを守らなければいけない。

▲提供写真

その他にもまいさんは、パレードでキャラクターたちと一緒にダンスをするシーンではカメラを置いて参加するそうで、「カメラはあくまでもその瞬間を残して、後から楽しむためのものなので、必ずしもカメラだけで楽しむものではないと思っているんです」と話してくれた。

「カメラだけで追ってしまうと全体が見えなくなってしまうので、踊る時は踊る。キャラクターが一緒に踊っている時に、オタクが全員カメラを向けていたら、寂しいじゃないですか。オタクだからこそ、全力で楽しみたいなと思います」

まいさんの“全力で楽しみたい”という気持ちは、自分だけではなく、パークを訪れる人全てに対してある。

「自分が立ち見の最前に行って、小さい子供が(前が)見えないと言っていたら『前の方に来ていいよ』と譲ることもあります。ワンデーで来ているゲストをすごい気遣うわけじゃないけど、自分が気づいたことは少しでも親切にしたいと思っています」

オタクの人たちも、“夢の国”と呼ばれるディズニーという特別な空間を作っているのだと感じられた、今回のインタビュー。“ワンデーのゲストが楽しめるように”という心がけは、きっとまた、誰かがディズニーを好きになるきっかけに繋がっていくのだろう。

(瑞姫)

※この記事は2022年12月10日に公開されたものです

瑞姫

フリーランスの取材・インタビューライター、コラムニスト。主にエンタメ、トレンド、グルメ、ビジネスカテゴリで活動中。

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