お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

選択肢を増やす「チョイスキャリ」。グッドルーム岩田梨沙さんの働き方

#働くわたしの選択肢

ミクニシオリ

「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部

時勢の変化からリモートワークの機会が増えたことで、テレビやニュースで「ワーケーション」「ホテル暮らし」といった、新しい働き方をする人も多い……なんて聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

「でも、自分には関係ないことだな」。

ホテル暮らしもリゾートでのバケーションワークも、なんだかすごくキラキラしたビジネスマンだけに許されている特権に感じる。普通のOLには、全然関係ない話だし、働き方も想像がつかない。そんなふうに考える人も多いのではないかと思います。

そんな中、今年からホテル暮らしを始めたというのが、都内のリノベーション企業に務める岩田梨沙さん。

グッドルーム株式会社で広報・営業として働きながら、毎月都内のホテルを移り住んでいる という岩田さんに、ホテル暮らしの様子や働き方のメリットを聞いてみたら……「人によっては賃貸を借りるよりお得なんですよ!」という、斜め上な答えが返ってきました。

「ホテル暮らし」を求めて、大手航空会社からリノベーション会社へ

ミクニ
岩田さんはグッドルームに転職される前、航空関係のお仕事をされていたとお伺いしました。大手航空会社からリノベーション業界への転職って、けっこう思い切った選択だったのではないかと思います。
岩田さん

わたし、小さい頃から「男の子に負けたくない」という気持ちが強か ったんですよね(笑)。好奇心も強かったし、女性が輝ける印象があったこともあり、新卒で大手航空会社への入社を決意しました。

航空会社ではグランドスタッフとして働いていたんですが、こうしてコロナ禍がやってきて、社会人5年目のタイミングで飛行機が飛ばない、空港での仕事が思うようにできないという時代がやってきて。ならもっと自分が興味を持っていた領域で、せっかくなら大手ではなくゼロから立ち上げるフェーズの事業に携われる会社に転職したいと思ったのがきっかけですね。

ミクニ
グッドルーム株式会社を転職先に選んだのはどうしてですか?
岩田さん

もともと、グッドルームが運営していた「ホテルパス」というホテル暮らしのサブスクサービスに興味があったんです。というのも、航空会社で働いている頃から、ホテルに遊びに行くのが好きで。若いうちにホテル暮らしを経験しておきたいという思いがあったんです。

ミクニ
ということは、「ホテルパス」に絞って面接されたのですか?
岩田さん
そうです。グッドルームへの入社面接の時には「ホテルパスに関わりたい」と決め打ちで望みました。大手企業で働いていた時には、若い社員の要望や意見がボトムアップするのに時間がかかることも痛感していましたし、ベンチャー気質の会社で主体的に働いてみたいという思いもありました。
ミクニ
なるほど。では、ホテル暮らしはグッドルームへの転職をきっかけに始められたのでしょうか。
岩田さん

そうですね。グッドルームのメイン事業は住宅リノベーションやシェアオフィス業なので、ホテル暮らしのサブスクは、まだまだこれからのサービスなんです。だからまずは、自分がホテル暮らしを体験しながら、皆さんにホテル暮らしの生活を発信しようということで、半年ほど前から始めました。

転職前も、1週間程度好きなホテルから出勤するということはやっていたのですが、今は家自体を引き払って、完全にホテルを家にする生活を送っています。

営業時はほぼ出社女子が、ホテル暮らしを実践してみたら……

ミクニ
ちなみに岩田さんは、どんな感じでホテル暮らしを始められたんですか?
岩田さん
まず、賃貸の家を持つのを辞めるということで、持ち物は全部手放しました。今は、キャリーバック2個分の荷物しか持っていません。季節が変わった時の服や趣味で使うグッズは、必要な時だけ取り出せるようにオンライン倉庫に保管しています。
ミクニ
荷物を全部捨てるのって、大変じゃありませんでしたか?
岩田さん
たしかに始める時はちょっと勇気が必要だったけど、始めてみると意外と大丈夫でした。転職前は8畳1Kの部屋で暮らしていたんですけど、整理を始めてみると、部屋のほとんどをお洋服が占めていることが分かって……。ファッションは好きだけど、あんなにたくさんはいらなかったなって。今は仕事着と普段着、数着ずつだけを持ち歩いていますけど、十分だなと思います。服を決めるのも簡単だし。

岩田さんのしごとバッグの中身は必要最低限。ホテルのポーチやお水も愛用

ミクニ
でも、家具・家電類も全部手放したんですよね?
岩田さん
そうですね。でも、ホテルには必要な家具家電がほとんど揃っていますし、それどころか、自分が使っていたひとり暮らし用のものより、グレードが高くて使いやすいものも多いです。ひとり暮らしの家具や家電は、同棲や結婚を考える時には不要になることもあるタイミングが早まっただけかなと考えています。
ミクニ
そう言われると確かに……? ちなみに暮らすホテルは、どうやって選んでいるんですか?
岩田さん
私はホテルパスを利用して借りるホテルを決めています。決めてはけっこう単純で、住んでみたい街や、気になる施設や観光スポットの多い街からホテルを選ぶようにしています。東京都内だけで約300件以上のホテルがあって、価格も月額6.98万円〜。私は人気の高い10〜13万円くらいの価格帯から借りることが多いですが、自分の金銭状況でホテルのグレードを選ぶようにしています。
ミクニ
なるほど。そういう意味では、月々の固定費を自分で選べるということになりますね。
岩田さん
そうなんです。キッチンつきのホテルや家具つきのマンスリーマンションもあるので、家賃や生活スタイルはその時々で選択できるのも一つのメリットですね。賃貸の家賃は固定費になってしまうけど、ホテル暮らしなら固定費の調整ができるし、敷金礼金などもかからないので、移動も手軽で簡単です。
ミクニ
たしかに。本当はひとり暮らしのうちにたくさん引っ越しをしたいのに、賃貸の初期費用が痛すぎてできないというのはよく聞く話ですもんね……。
岩田さん

それに、ホテル暮らしってお金がかかると思っている人も多いと思うんですけど、半年やってみた体感だと、月にかかる費用は賃貸を借りている時と変わらないですね。家賃だけでなく、食費や光熱費関係も比べてみたんですけど、通信費や光熱費はかからないし、その上初期費用もかからない。超高級ホテルに住みたいとかでないなら、年間で考えるとむしろ費用を抑えやすい面も。

私のような営業職だと、家でご飯を食べる機会も意外と少ないから、食費が跳ね上がるということも特にありませんでしたね。

ミクニ
ホテル暮らしがコスパいい、というのは意外な意見かも。
岩田さん

その上、清掃はホテルのスタッフさんがやってくれるし、毎日お風呂に水を貯めても罪悪感がないし。ベッドも高級なものを使っているホテルが多いので、めちゃめちゃ寝れるし(笑)。余計なものがないから仕事にも集中できますね。ホテルによってはワークスペースがあるホテルもあって、憧れていたおしゃれな働き方も実践できています。

ミクニ
岩田さんは営業職とのことですが、リモートワークされているんですか?
岩田さん

それが、けっこう出社しているんですよね(笑)。だから、私が実践しているのは出社ありきのホテル暮らしでもあります。でも、週によって会社以外の取引先に直接行く機会が多い時などはあるので、その都度スケジュールに合った街を選べるのもメリットです。

ホテルパスでは2週間の短期ステイから選択できるので、タイミングに合わせて利便性のいい都心の街を選んだりしています。

ミクニ

営業職で出社がある女性でもホテル暮らしできると思うと、ホテル暮らしの幅が広がるような感じがしますね。

岩田さん

はい、実際営業職や出社がある人にもすごくおすすめですよ!  2年契約の賃貸で借りるには予算が合わない高額な都心にも住めるので、通勤時間は大幅にカットできます。場所によっては、シェアサイクルだけで移動することもできます。

それに家事に割く時間が圧倒的に少なくなるので、忙しく働く人ほど働きやすさを感じられると思います。通販で買ったものも、ホテルが受け取っておいてくれますしね。私は、賃貸でのひとり暮らしより圧倒的に便利さを感じています!

「賃貸暮らし」以外の選択が、これまでの”当たり前”を揺るがす

ミクニ
思っていたよりも便利で楽しそうですね、ホテル暮らし。
岩田さん

そうなんです。学生時代に買った気に入らない家具を一気に断捨離するきっかけにもなったし、銀座や原宿、渋谷など、住んでみたくても住めなかった街で、ワンマイルコーデでお散歩できるのも新鮮です。カフェ巡りもはかどっています!

ミクニ

ちなみに、岩田さんのとある平日の働き方も紹介していただけますか?

岩田さん

9時から出社なので、都心にいる時は8時過ぎに起きれば間に合うかな(笑)。訪問だけの日とかは、早めに帰ってきて行きたかったケーキ屋さんでお土産を買ったりしています。シェアサイクルで移動して、オンラインミーティングはホテルの部屋でして、夜は趣味のサウナ巡りをして……って感じかなあ。都心に住む人が、当たり前にしていそうな暮らしを自分も実践できている感じでしょうか。

ミクニ
当たり前なようで、めっちゃおしゃれでステキですね。
岩田さん

今の私の住所、中央区銀座ですからね。それはちょっと、自分でもテンションが上がっています。

ミクニ
住所が銀座はめっちゃパワーワード(笑)。
岩田さん

ホテル暮らしってミニマリストとか、エクストリームワーカーみたいな人しかできないイメージもあると思います。でも私自身普通の会社員だし、お金持ちでもなんでもないし。実際に実践してみて分かったのは、人によっては賃貸暮らしの一つの選択肢になるんじゃないかということでしたね。

ミクニ
たしかに。人によっては、賃貸暮らしよりホテル暮らしの方が向いている可能性がありそうですね。
岩田さん

仕事好きな人や通勤に時間かけたくない人、飽き性で引っ越し好きな方などは、賃貸よりホテル暮らしの方が向いていると思います。若いうちに仕事を頑張りたい間だけ、と決めるのもアリですよね。独身の方もいいですし、別居婚などを考える人もいいのかもしれません。

ミクニ
暮らしの考え方としては新しいのかもしれませんが、多様性のあるライフスタイルの選択肢になっていきそうですよね。
岩田さん

私もきっと、結婚して子どもができて、というライフスタイルになったら、きっとホテル暮らしは辞めると思うんですけど、子どもが独立するようなタイミングで、またパートナーと旅するようにホテル暮らしができたら楽しそうかなとも思います。そんな風に、タイミングによって自然と選択肢の中に入る暮らしの一つなのではないかと思います。

ミクニ

たしかに。仮暮らしのイメージは強いですが、だからこそ気軽ですし、もっと身近な選択肢になっていきそうですね。

岩田さん

それに、私はホテル暮らしをする人が賃貸と同じくらい増えたらいいなと思っているわけではないんです。ただ、長く住むことを検討する街で1カ月仮 暮らしをしてみることだったり、同棲前にキッチンつきホテルでプレ同棲してみることだったりが、賃貸を借りるだけではない新しい選択肢になっていけばいいなと思います。

数年前まで、都会でひとり暮らしするなら、賃貸を借りるのが当たり前で、それ以外の選択肢がなかった。でも今は違うんだということが、自然になればいいですよね。

ミクニ
当たり前、の選択肢が増えるというか。
岩田さん

そうですね。一度借りた家が2年契約なこととか、初期費用が50万円近くかかること、家を借りるのに何週間もかかることは、必然ではなくなったと。賃貸契約の当たり前にもやっとを感じる人や、本当はもっと自由に暮らしたいと思っている人に、私の生活スタイルが届くよう、今後も発信していきたいと思います。

※この記事は2022年07月29日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

この著者の記事一覧 

SHARE