情弱とは? 意味や読み方・由来・使い方を解説
ネットでよく見かける「情弱」という言葉の意味を知っていますか?
もろくて弱い様子を表す「脆弱」にも似ている言葉ですが、意味がだいぶ異なります。
今回は「情弱」の意味や言葉の由来について解説していきます。
記事の後半では「情弱」であることのリスクについても触れていくので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
「情弱」とは何の略? 読み方・意味・言葉の由来
「情弱」とは、「じょうじゃく」と読みます。
まずは「情弱」という言葉の意味や由来について見ていきましょう。
「情弱」とは「情報弱者」の略
辞書によると、情弱とは「情報弱者」の略語です。
「情報弱者」については、以下のように解説されています。
マスコミ報道やインターネットなどに触れる機会が少なく、情報の入手において不利な環境にいる人。また、情報の価値や真偽の判断に慣れていない人。
(『デジタル大辞泉』小学館)
インターネットが普及し、パソコンが身近になった現代では、誰でも気軽にさまざまな情報を得られるようになりました。
一方で、入手した情報の量や質、その情報をどう判断し解釈するかというスキルの違いによって、社会的な格差が生まれやすくなっています。
このような格差は「情報格差」と呼ばれており、この格差の中で弱い立場にいる人を指すのが「情弱」という言葉です。
なお、「情弱」と反対の意味を持つ言葉は「情強」で、「情報強者」の略です。情報収集や情報の活用が上手な人を指します。
「情弱」の由来は?
「情弱」は、インターネット掲示板での使用がきっかけで広まったといわれています。
元々は、インターネット環境が整備されていないことなどにより、情報を得る機会の少ない人を指して使われていた言葉でした。
時代とともにインターネットの普及が進み、情報に触れる機会が増えたことから、最近では入手した情報の価値や真偽を判断するスキルの低い人に対しても使われるようになっています。
インターネット上においては、相手を言い負かした際や相手の知識不足を指摘する際などに、やや侮蔑的な意味を込めて用いられるケースもあります。
「情弱」の使い方【例文】
次に、「情弱」を使った文章例を紹介します。
《例文》
「本当にあなたは情弱だよね」
相手の無知や間違いをからかう意味合いで使われることがあります。
親しい間柄であれば冗談半分で使えるかもしれませんが、相手に不快な思いをさせてしまう可能性もありますので注意しましょう。
《例文》
「こんな初歩的な質問をしてくる情弱とは話にならない」
相手との情報格差があり、話が通じにくい場面で「情弱」を使う例です。
事実として格差が大きい場合だけでなく、相手を見下して使われることもあります。
《例文》
「情弱でよく理解ができないので詳しく教えてほしい」
自分を卑下して「情弱」を使った例です。
人には得意分野もあれば苦手分野もあるもの。「その分野については詳しくない」という意味で、「その件に関しては情弱」などと使うこともできます。
「情弱」の類義語は?
次に、「情弱」という言葉の類義語についても見ていきましょう。
「情報難民」
「情報難民」は、神戸女学院大学の名誉教授である内田樹氏が造った言葉です。次のような意味があります。
マスメディアに対して批判的で、インターネット上の情報は無批判に受け入れてしまう、情報リテラシーの低い人。マスメディアの言説を拒絶することで自分に批評力があると思い込み、インターネット上に流れる情報、特にマスメディアの言説に対して否定的な情報については、その信憑性を吟味することなく受け入れてしまう。
(『デジタル大辞泉』小学館)
また、総務省の推進する「情報難民ゼロプロジェクト」においては、災害時に必要な情報を入手・理解しづらい外国人や高齢者を指して「情報難民」という言葉が使われています。
「情報(IT)リテラシーが低い」
リテラシーの意味を調べてみると、以下のように解説されています。
おおむね「知識や情報を有効活用できる能力」という意味合いで用いられる表現。
(『実用日本語表現辞典』)
情報リテラシーとは、多数ある情報源の中から自分が求めている情報を効率良く見つけ出し、正しく活用できる能力のこと。
ITリテラシーは、情報収集の手段としてパソコンやインターネットを駆使する能力、あるいはそれらの機器を用いて知識を得る能力を指して用いられる言葉です。
「情報リテラシーが低い」、「ITリテラシーが低い」と「低い」をつけて使うことで、「情弱」とよく似た意味を持つ言葉になります。
「パソコンがうまく使いこなせない」
最近では、情報を入手する手段として、パソコンをはじめとする情報通信機器を使うことが身近になりました。
その一方で、そうした機器を使いこなせないと有用な情報にアクセスしづらく、さまざまな面で不利になるといった状況も生まれています。
このことから、「パソコンやその他のIT機器をうまく使いこなせない」ということは、「情報弱者」であることとほぼ同義といえるでしょう。
「情弱」の英語表現は?
「情弱」すなわち「情報弱者」は、英語では「information poor」と表現されます。
informationは、「知識・情報」などの意味を持つ英単語です。
poorは「乏しい・劣っている・不得意な」などと和訳されます。
「情報弱者」の対義語「情報強者」は、英語では「information rich」です。
また、「情報格差」は「digital devide」(デジタル・デバイドもしくはデジタル・ディバイド)と英訳されます。
「情弱」であることで起こり得るリスクは?
ここまで、「情弱」の意味や使い方について解説してきました。
それでは実際に「情弱」だとどんなリスクや問題があるのでしょうか。
有益な情報を知らずに損してしまう
「情弱」は、情報を入手するスキルが不足しているという特徴があるため、有益な情報を得る機会が少なくなります。そのため、得するチャンスを逃してしまうことも。
また、店員に勧められるままに自分に合わない商品やサービスを購入してしまう危険性もあります。
最近では「情弱ビジネス」といって、情報弱者をターゲットにした商法も横行しています。少し調べれば分かるような知識やノウハウを有料で提供するビジネスは、情弱ビジネスの典型例です。
情報弱者であることにつけ込まれ、本来ならお金を払ってまで教えてもらうほどの価値がないにもかかわらず、そうとは知らずに支払ってしまう可能性があるのです。
正しい情報を得られない
「情弱」の特徴として、知り得た情報の信憑性を正しく判断する能力が低いという点が挙げられます。
そのため、多数ある情報の中でどれが正しいのか判断できず、正確な情報を得られないリスクがあります。
また、正しくない情報でも鵜呑みにしてしまい、失敗したり後悔したりする危険性もあるでしょう。
「情弱」とは情報格差社会で生まれたネットスラング
インターネットやパソコンの普及により、その利用頻度や活用スキルの差によってさまざまな格差が生じるようになった現代。
ただ情報を得るだけでなく、その真偽や価値を正しく見極め、有効に活用できるようになりたいですね。
「情弱」にならないために、情報リテラシーを高めていきましょう。
(ひらり)
※画像はイメージです
※この記事は2021年08月30日に公開されたものです