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ジェンダーと『鬼滅の刃』。泣く男の子が、最高にかっこいい時代が来た! #PM6時の偏愛図鑑

#PM6時の偏愛図鑑

トイアンナ

定時後、PM6:00。お仕事マインドを切り替えて、大好きなあの映画、あの舞台、あのドラマを観る時間が実は一番幸せかもしれない。さまざまな人が偏愛たっぷりに、働く女性に楽しんでほしいエンタメ作品を紹介する連載です。今回はライターのトイアンナさんが『鬼滅の刃』を語ります。

結論だけ言うと『鬼滅の刃』を6巻まで読んでほしい、という話をします。

私が小さい頃は、「男が泣くなんてみっともない!」と怒られていた最後の世代でしょうか。こんな叱り方をする先生がまだいたように思います。

まだランドセルも赤と黒ばかりで、女の子はピンク、男の子はブルーの筆記具に分かれていた時代。それに疑問も抱いていませんでした。

私は「女の子だから、勉強しなくても結婚すればいいね」と言われ、モヤモヤした被害者でもあったし、セーラームーンを見る男の子を「きもーい」と笑う加害者でもありました。

『週刊少年ジャンプ』を買う時は「女子なのに」と思われないかちょっと気にして、『りぼん』の下に隠してレジへ持って行って。

『幽☆遊☆白書』の螢子、『SLAM DUNK』の晴子、『るろうに剣心』の薫と、ヒロインも主人公と共闘するよりは支えるタイプが多い。そんな時代でした。

時代の変化を感じたのは『ONE PIECE』『NARUTO』『BLEACH』

時代の変化を感じたのは、『ONE PIECE』『NARUTO』『BLEACH』がジャンプの連載に並び出した頃から。女性が「戦うメンツ」に入り始めたのです。

それまで女はいくら強そうな性格でも、戦闘ではなぜか守られる側にいました。ですが、ナミ、サクラ、ルキアたちは「主人公の隣で戦っている」のです。少しずつジャンプで女も“俺ら”の仲間入りを果たしたんだなあ、と子ども心に感動しながら連載を追っていました。

その一方、男は強さを求められっぱなし。もれなく主要キャラがびゃーびゃー泣く『ONE PIECE』を除けば、男性に泣く権利はほとんどなかったように思います。男性キャラが泣いても「許される」のは肉親の死か、愛する人が消えるシーンくらい。

小さな悲しみに泣くのは、主人公には許されてこなかった……んですけど、ついに革命が起きました。

『鬼滅の刃』です。

世界一、慈しい鬼退治が始まる

主人公の炭治郎は、家族を鬼に殺されます。さらに、唯一の生き残りとなった妹は鬼になってしまい、人間から命を狙われる立場に。妹を人間に戻すべく、鬼狩りを使命とする「鬼殺隊」へ入る決心をする炭治郎。

そんな炭治郎は、とにかく泣きます。

妹を守れず泣く。
自分の弱さに泣く。
鬼を倒しながら、鬼の人生を思い泣く。
先輩が自分をかばってくれたら泣く。
修行で泣く。
夢で家族に再会して泣く。

とにかく、炭治郎はよく泣く!
けれど、最高にかっこいいんです。

なぜなら、炭治郎は泣いて強くなるから。

本当は誰もが泣いていたはずなんだ

本当は、誰もが泣いて強くなっているんじゃないでしょうか。

私も、中学生の頃にテストの点数が思ったように伸びなくて泣きました。泣いて、泣きながら机にしがみついて勉強して、次の定期テストで挽回した時は強くなった自分を感じたものです。

男性だって、本来はそうでしょう。ただ、みんなの前で泣くことは「男らしくない」と許されてこなかっただけで。

もちろん、「俺は・私は弱くない! 泣いたりしない!」と強がることが大事な場面もあります。後輩の前でかっこつけたいとか、自分を奮い立たせるために「まだまだ! こんなんじゃ傷つかないね!」と言ってのけたい時とか。

でも、同じくらい泣いて、慰めてもらって強くなれる時もある。それが公に認められたのが、『鬼滅の刃』なんじゃないかと思うのです。

『鬼滅の刃』は、ジェンダーだの何だのを抜きにしても飛び抜けて面白い漫画。累計発行部数6,000万部突破はその証でしょう。だからこそ、最高に面白い漫画がジェンダーの壁を自然に超えてくれたことを、とてもうれしく感じるのです。

もっと男性も女性も泣いていい。泣いた分だけ、私たちは強くなれるから。

鬼滅の刃は1~6巻で炭治郎が家族を失い、絶望の淵から立ち上がり鬼と対決できるまでが描かれています。ここまで読んでハマらなかったら、仕方ない。

でも、約束します。そのまま、あなたは炭治郎が鬼の幹部と対決する11巻まで読むでしょう。そして11巻まで読んだあなたは、必ず最後まで読みます(私調べ)。

ですから、とりあえず6巻まで読んでください。めちゃくちゃ面白いので。

そして、感動に打ち震えながら「そういえば、炭治郎ってめちゃくちゃ泣くよな」と思い出していただければ幸いです。

(文:トイアンナ、イラスト:谷口菜津子)

トイアンナ

慶應義塾大卒。P&Gジャパン、LVMHグループで合わせて約4年間マーケティングを担当。その後は独立し、主にキャリアや恋愛に関するライターや、マーケターとして活動。著書に『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』や『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』などがある。

●ブログ「トイアンナのぐだぐだ」
http://toianna.hatenablog.com/

●Twitter
https://twitter.com/10anj10

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