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第45話 ごめんね

「さっきよりは、少しは」
わたしは曖昧な返事をして、立ち上がった。
疲れていた。心底、疲れていた。
「帰るね」
「うん。家まで、送るから」
コートを着て、店の外に出た。
悠斗はわたしの耳に顔を近づけて言う。

「ごめん。本当にごめんね。
イヤな思いをさせちゃったね」
そうして、彼はわたしの肩に手を置いた。

途端に、頭の中に映像が浮かんできた。
ゆるいウエーブの、きれいな栗色の、
さっきの女のコの豊かな髪。
悠斗の家のバスルームで、彼女は、裸で、
しゃがんで髪の毛を引き抜き、丸めて、
シャンプーのボトルの底に貼り付けている。

そのまま女のコが、バスタオルで体を包み、
悠斗の部屋へ入り……そしてふたりが、
あの寝室で抱き合うところが。

体がふるえる。
わたしは反射的に、悠斗の手を振り払い、
まるであの女のコのように走り出していた。

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