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第44話 何も言えない

「ごめんね。本当にごめん……
体、冷えたよね。そこで何か飲もうか」
「うん……」
たぶんわたしたちは、
ふたりともが、ショックだったのだと思う。
すぐそばにあったコーヒーショップに入り、
何も言わずに席についた。
わたしは時々カップを口にはこびながら、
照明の映るスプーンをぼんやりと見つめている。

たしかに、きれいな人だった。
悠斗は「人を指差して罵るような女性は、
けっして美しくは見えない」と言ったけれど、
わたしを泣き叫びながら罵った女のコは、
何をしていても、きれいだった。

コートを着ててもわかる、スタイルのよさ。
寒さで鼻の頭が赤くなっても損なわれない美しさ。

そして、やはり言われてしまった。
わたしと悠斗は、まったく釣り合わないと。
このコーヒーショップでもまわりからは
「なんであの女が?」と思われてるのだろうか。

「大丈夫?」
ふと気づくと、悠斗が心配そうにこちらを見ていた。

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