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第35話 初デート

高橋さんに連れていかれたレストランは、
オープンカフェ形式のテラスだった。
「まだ寒くないし、気持ちいいだろ?」
テラス席のグリーンを背景に、高橋が笑う。
似合いすぎてて、何かのCMみたいだ。
そんな素敵な人の隣に、
わたしみたいなゴリラがいていいんだろうか。
相手が眩しすぎて、やっぱりドキドキする。
紙ナプキンに伸ばした手が重なり、慌ててひっこめると、
「まだ緊張してるの?」と笑われた。
「うん」
素直にそう言うと、
「緊張しなくていいよ。俺なんてもうオッサンだし」
と、軽い調子で返される。
あれ?
わたし、必要以上に慣れてない雰囲気になってない?
もう30になるし、ずっと彼氏いたし。
そこまで初心ってわけでもないんだけど。

デートの時、相手のことを喜ばせたいって
思っていない男性はいないよ。
だから、奈緒子はうんと楽しそうにしていればいいの。

急に真由のアドバイスを思い出し、実践しようと思い返す。
「ありがとう!」
にっこりと笑って、彼が取ってくれた紙ナプキンを
受けとった。
「ワインはどうする? カクテルもあるよ」
「ビール、頼んでもいいですか? 
緊張したら喉乾いちゃって」
「ハハッ、いいね」
高橋は、ウエイターを呼ぶと、ビールを2つ、
頼んでくれた。

テラス席の爽やかな空気には、ビールが似合う。
まだ明るさが残る空にも。

楽しい夜になりそうな予感に、
つい数日前まで悩んでいたことを忘れて
グラスを重ねた。

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