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第32話 大輔と比呂

4人で会社に戻る途中、懐かしい声がした。
「奈緒子」
呼ばれて振り返って、後悔した。
そこにいたのは、かつての恋人、庄司大輔だったからだ。
「大輔」
どうして声かけたの。今頃。しかも同期がいるとこで。
「奈緒子、うちら先いってようか?」
「ううん。行こう」
大輔に気持ちが残っていないといったら嘘になる。
でも、せっかく本気で新しい相手を探そうと
し始めたところなのだ。
目の前に現れて心をかき乱さないでほしい。

踵を返し、真由らを促して先へ急ごうとすると、
「ごめん」
後ろから謝罪の言葉が降ってきた。
その声は真摯で、思わず足が止まる。
「俺が悪かった。もう二度としない。だから」

大輔の声は途中で途切れた。
その声に重なったのはいつもと違う、比呂の声。
「奈緒子がどれだけ傷ついたと思ってるんだ」
聞いたことがないほど、冷たくて険しい声。
これ、ほんとに比呂?
思わず振り返ると、比呂が大輔の手首をつかみ、
睨んでいた。
「いや、あれはたまたまっていうか、偶然間が悪く」
「見つからなければ、今でも続けてたのか?」
「……二度としないって」
比呂の迫力に大輔が押されてる。
体格は、大輔のほうが断然いいのに。
「だって、どうする? 奈緒子」
「……考え、させて」
「わかった」
比呂が大輔の手首を離し、その反動で大輔がよろめいた。
なんだろう。
大輔の突然の謝罪、いつもと違う比呂、
ただの昼休みにはヘビー過ぎて、頭がくらくらする。

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