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第22話 比呂

わたしがサークル活動に合コン、イベント参加と、
婚活に迷走していたその頃。
街で比呂を見かけた。

最近、婚活で忙しくて同期飲みにも参加してないし、
見かけるのは久しぶりだ。
「ヒ……」
声をかけようとして、なんとなく、声を飲みこんだ。
比呂のすぐ後ろから、華奢で可愛い女の子が
ぴょこっと現れたからだ。

制服を着ているから、うちの総務の子なんだろう。
比呂が持っている両手いっぱいの大荷物を、
彼女も1つ持とうとしているようだった。

ところが、比呂は、
両手で持っていた荷物を片手に持ち帰ると、
彼女が唯一持っていた小さ目の紙袋を
奪うように手に取った。

頬を膨らませて怒る彼女。豪快に笑う比呂。
なんだか、とてもお似合いだ。

あ……!
比呂がこっちを向いた気がして、
必要もないのに隠れてしまった。
彼らはわたしに気づくことなくすれ違っていったけど、
まだ胸がドキドキしている。

そう……だよね。
比呂は優しい。
いつもすごく優しくしてくれるから、
自分が特別なんだと思っていた。
でも。
比呂の優しさは他の人に向けられる可能性もあるわけで。
そんなの当たり前なのに、なぜか、もやもやした。

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