お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

第55話 子どもみたいに

「ここからだと、割とよく見えるんです」
山本さんが案内してくれたのは、
川の近くにある、小さな児童公園だった。

公園はさっきまでの人ごみとは打って変わって、
町をよく知っている地元の人だけが、
パラパラと空を見上げて立っている。

「これ、必需品です。使ってください」
「あ、ありがとう」
わたしたちは、虫除けスプレーを掛け合った。
冷たくて、鼻をつくにおいがあって、
ふたりで子どもみたいに「キッツーイ」
と言って、笑い合った。

その時、ドーンという大きな音とともに、
空に花火が広がった。
近くで見るから、すごく大きい。
こんな大きな花火を見るのは、はじめてだ。
山本さんに誘われて、ジャングルジムに、
寄りかかって夜空を見上げた。

きれいで、楽しくて、胸がキュンとなった。
考えてみると、なんの後ろめたさもなく、
心が晴れ晴れするような気持ちって、ひさしぶりだ。
逆に孝太郎との付き合いで、自分がいつも、
どんなに後ろめたかったかが、わかってしまった。

お役立ち情報[PR]