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第45話 何も考えたくない

幸太郎の奥さんと別れてからは、
どう帰ったか覚えていない。

ひたすら暑く、耳鳴りがするほど頭痛がして、
親には「具合が悪い」といい、
家に帰り着くと次の日の夜明けまで、
死んだように眠り込んだ。
実際、熱射病だったのかもしれない。

翌日の日曜、開けっ放しのカーテンから射す、
朝の光で目がさめた。
さわやかなはずなのに、気持ちは沈んだままだ。

「アンタには聞く資格がない!」

歯磨きの最中、奥さんの声が耳によみがえった。
わたしは、もっと罪の意識を持つべきなのかな。
でも奥さんには、申し訳ないとか、かわいそうとか。
そういう気持ちがまったく湧いてこない。

かわりに会社を辞めなくてはいけないことを、
ひどく理不尽に感じてしまう。

窓を開け、オレンジ色の朝焼けの町を眺める。
ふとそこに、奥さんに似たシルエットを見る。
えっ、家の前まで来てる!?

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