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第44話 無資格

「ほかのお客様もいらっしゃるので
お帰りいただけませんでしょうか。
お支払いはけっこうですので」

カフェの店員はあわれむような表情で、
わたしたちを見ていた。
「どうも、すみませんでした……」
わたしは顔を伏せながら、店を出た。

店の外に出ても、奥さんはまだ泣いていた。
子どものようにしゃくりあげていて、
話ができる様子ではない。
かわいそうと、申し訳ないと、
思うべきなんだろうな……。

「今日はもう……帰る」
泣きながら奥さんは、
やっとそう言ってわたしに背中を向けた。
わたしは、奥さんの背にそっと問いかけた。

「あの、孝太郎さんは何か言ってます?」

すると奥さんはくるりと振り返り、
悲鳴のような高い声で叫んだ。

「アンタには聞く資格がない!」

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