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専門家 不調

疲労と睡眠の医学博士が教える。「ウナギ」と「トリ」、夏バテに効くのはどっち?

ユンブル

暑い日が続くと、体がだる重く、食欲が落ちて夏バテを感じます。そんなときこそ、ウナギや焼肉、辛いカレーなどを食べて乗り切りたくなりますが、「それは夏バテ対策としては間違いです」と話すのは、大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授で、東京疲労・睡眠クリニック(東京都港区)の梶本修身(かじもと・おさみ)院長。詳しいお話を伺いました。

■ウナギ、焼肉、カレーは胃腸への負担が大きいので逆効果

―ウナギが夏バテ対策にならない理由について教えてください。

梶本医師 ウナギはビタミンAやビタミンBが豊富で、脂質が多くて高カロリーな食材です。食糧が乏しくて慢性的に栄養不足だった時代には、栄養源として重宝されていました。

ですが、現代はメタボや生活習慣病が心配される、栄養過多の時代です。極端なダイエットをしない限り、一般の食生活でビタミンAやビタミンB、またカロリーが不足することはありません。ウナギから栄養源を補給する必要はないということです。

そもそも、天然のウナギの旬は冬です。むしろ、夏バテで胃腸が弱っているところに脂肪分が多いウナギを食べると、胃もたれを起こしたりおなかをこわすこともあるでしょう。

―焼肉や辛いカレーなども同じように、胃腸への負担のほうが大きいということでしょうか。

梶本医師 そうです。脂肪が多い牛肉は消化に時間がかかりますし、カレーや激辛料理のような香辛料が効いた料理を食べ過ぎると、胃腸の粘膜に刺激を与えます。すると、消化器官のダメージが大きくなり、それを調整しようと自律神経が過剰に働いて、疲れをまねくことになりかねません。スタミナ食は、夏バテ対策食とは言えないわけです。

■トリの胸肉+クエン酸を含む食材を組み合わせる

―では、どのような食材を食べるのがいいのでしょうか。

梶本医師 まず、夏バテの真の理由を理解しましょう。栄養不足からではありません。

暑くて湿度が高い環境では、体温や呼吸、心拍、消化などのバランスを保つために自律神経が酷使されます。そうすると、自律神経の中枢(ちゅうすう)がある脳に疲労がたまるわけです。バテる理由はここにあります。

次に、どのような食材が疲労の対策になるかですが、大阪市立大学が研究発表した疲労回復に有効な成分は、『イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)』と言います。これは、実はトリの胸肉に豊富に含まれる抗酸化成分です。マグロやカツオなど、大型の回遊魚の尾ひれ付近にも含まれています。

―トリの胸肉が夏バテ対策にいいということですが、食べる量の目安を教えてください。

梶本医師 「イミダペプチドを毎日200ミリグラム、2週間継続してとると抗疲労効果が現れる」ということが、科学的に明らかになっています。イミダペプチド200ミリグラムとは、トリの胸肉100グラムに含まれる量になります。

トリの胸肉は、低カロリーで高タンパクです。さらに、安価で、スーパーやコンビニなどどこででも買えて調理もアレンジしやすいというメリットがあり、毎日食べることもできるでしょう。もも肉やささみなどトリのほかの部位にもイミダペプチドは含まれますが、量が半減するため、その分多くの肉を食べる必要があります。

―トリの胸肉は、炒め物、スープ、炊き込みご飯などレシピのバリエーションは豊富です。イミダペプチドの成分を逃さないための調理のコツはありますか。

梶本医師  イミダペプチドは熱に強いので、焼く、煮る、蒸すなど、どのような調理法でもOKです。また、水に溶ける性質があるので、スープにして飲みきるとたっぷりと摂取できます。

それに、トリの胸肉は最近、スーパーやコンビニでレトルトのタイプもよく見かけるようになりました。さっとサラダにして食べることもできます。

―イミダペプチドのほかに、疲労対策にとって有用な成分はあるのでしょうか。

梶本医師 かんきつ類や梅干しに豊富に含まれる『クエン酸』にも抗疲労効果が確認されました。特に、激しいスポーツをしているときには、1日にレモン2個、梅干し2個、酢大さじ1~2杯を目安に、トリの胸肉の料理に組み合わせて食べてください。レモンや梅干しでソースを作る、マリネにするなど、アレンジするのがお勧めです。

―摂取の効率がよい、食べるタイミングはありますか。

梶本医師 もっとも効果的なのは、疲れてから食べるのではなく、疲れる前に日常的に食べておくことです。一日の流れの中では、朝にトリの胸肉を食べることをお勧めします。ハーブチキンサラダや、前夜に作っておいたスープだと食べやすいでしょう。

■まとめ

これまで夏バテ回復メニューだと思っていたスタミナ料理は、実は消化器官に負担をかけているかもしれない、また、疲労対策にとって根拠がある食材は、トリの胸肉だということです。クエン酸とのコラボメニューを考えて、まずは2週間続けてみたいものです。

(品川緑/ユンブル)

取材協力・監修:梶本修身氏。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。国家プロジェクトとして疲労対策の研究を続ける。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)、『「体の疲れ」が消える本』(成美文庫)ほか。『林修の今でしょ講座』『たけしの家庭の医学』(テレビ朝日)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)ほかメディアに多数出演、睡眠と疲労に関する新常識の提案、分かりやすい解説で知られる。

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