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専門家 不調

糖尿病専門医が警鐘! ジュースのがぶ飲みが引き起こす「ペットボトル症候群」とは?

ユンブル

蒸し暑い日や運動して汗をたくさんかいたときは、炭酸飲料やスポーツドリンクをゴクゴク飲みたくなります。ですが、「糖分をたくさん含むドリンクを大量に飲むと、血糖値(血液中の糖分の濃度)が急上昇します。すると、激しい吐き気や腹痛、意識がもうろうとするなどの『ペットボトル症候群』と呼ぶ急性の糖尿病になる恐れがあります。10代~30代に多い症状です」と話すのは、糖尿病専門医で大阪府内科医会会長の福田正博医師。詳しく聞いてみました。

■500ミリリットルの清涼飲料水には、角砂糖12個分以上の糖分が含まれる

―ペットボトル症候群とは、どういう病気なのでしょうか。

福田医師 現在、食品衛生法の規定で、乳酸菌飲料、乳および乳製品を除く、アルコール分1%未満の飲料を「清涼飲料水」と呼んでいます。炭酸飲料やスポーツドリンク、ジュースのことですが、市販品の多くには、意外なほどの糖分が含まれています。

それらを一気に飲むと、糖分が大量に体に入ることになり、血糖値が急激に上昇して急性の糖尿病を起こすことがあります。これを「ペットボトル症候群」と言い、医学的には「糖尿病性ケトアシドーシス」とか、「清涼飲料水ケトーシス」と呼びます。

ペットボトルに入った清涼飲料水をがぶ飲みしやすい10代から30歳前後に多いと言われています。

症状として、最初は、「ひんぱんにのどが渇く」、「尿の量が増える」、「トイレが近い」などがあり、それゆえにまた清涼飲料水を飲み続けるという悪循環となります。やがて、「とても体がだるい」、「眠気に襲われる」、「吐き気が強い」、「おなかが痛い」、「脱水症状」、それに、ひどいと「昏睡状態」に陥って命に関わることもあります。

スポーツドリンクを水代わりに、毎日2~3リットル飲んでいた高校生が、意識障害で病院に運ばれるケースも多いようです。

―どうしてそのようなことになるのでしょうか。

福田医師 糖尿病の発症と同じメカニズムで、血糖値が上昇すると、これをエネルギーに変えるために、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。ですが、血糖が高すぎると「インスリンの量が不足する」、また、「インスリンの効き目が衰える」ようになり、代謝のバランスが崩れます。

糖分を燃焼できなくなった体は、次にエネルギーを得るために脂肪を燃やそうとしますが、その過程で「ケトン体」という酸性の物質が作られます。ケトン体は、脳で糖の代替エネルギーとして利用されることもわかっていていい面もあるのですが、 これが血中にどんどん増えると血液が酸性に傾き、病名の「ケトアシドーシス」の状態になります。これがペットボトル症候群であり、先ほどの症状が出てきます。

―市販のドリンクには、それほど多くの糖分が含まれているのですか。

福田医師 清涼飲料水の種別やタイプによりますが、全体量の約10%の糖分が含まれている場合があります。

そうすると、500ミリリットルのドリンクなら約50グラムになりますが、角砂糖は1個4グラムですから、12個以上が入っていることになります。これは約200キロカロリー、だいたい、お茶わんー膳分の白いごはんに相当します。

一般に成人の摂取カロリーの目安は、およそ1800~2200キロカロリーとされています。清涼飲料水を2.5リットル飲んだ場合は、それだけですでに約1000キロカロリーを摂取していることになり、1日の必要カロリーの半分に匹敵します。

1000キロカロリーのメニューを見ると「食べ過ぎかな……」と思うでしょうが、飲料の場合は摂取したカロリーに気付きにくくてセーブしない、夏は特に、のどが渇いて飲んでしまうことがあるでしょう。

■ノンシュガーとは、糖分0グラムではない

―さまざまな種類のドリンクがありますが、なるべく糖分が少ないドリンクを選びたいものです。清涼飲料水別に、糖分の量について教えてください。

福田医師 メーカーによって差はありますが、500ミリリットルペットボトルの清涼飲料水に含まれる糖分量は、一般に次の通りです。

 

コーラ……約56グラム(角砂糖約14個)
エナジードリンク……約55グラム(角砂糖約14個弱)
サイダー……約50グラム(角砂糖約12.5個)
野菜ジュース……約50グラム(角砂糖約12.5個)
ミルクティー……約40グラム(角砂糖約10個)
カフェオレ……約40グラム(角砂糖約10個)
レモンティー……約35グラム(角砂糖約9個弱)
スポーツドリンク……約25グラム(角砂糖約6個強)
ストレートティー……約20グラム(角砂糖約5個)

―手に取ったドリンクの糖分の量が知りたい場合は、何をチェックすればいいでしょうか。

福田医師 ペットボトルや缶に表示されている、「炭水化物」の量をチェックしてください。「栄養表示基準」では、炭水化物は「糖質+食物繊維」を指しますが、食物繊維の量はわずかですから、炭水化物の量でおよその糖分の量がわかります。「炭水化物 56.5g」と表示されていれば、それが糖分の量だと把握しましょう。

―「ノンシュガー」、「低糖」、「無糖」という表記がある飲料も増えています。それを選べばいいのでしょうか。

福田医師 栄養成分の表示の方法には規定があります。糖分が100ミリリットルあたり0.5グラム未満の場合は「ノンシュガー、ゼロカロリー、無糖」と、100ミリリットルあたり2.5グラム以下の場合は「低糖、微糖」と表記してもいいことになっています。

ですから、これらの表記があっても、必ずしも砂糖が0グラムではないと覚えておきましょう。

―水分を補給したいときには、どのようなドリンクを飲めばいいのでしょうか。

福田医師 熱中症の予防、改善に経口補水液やスポーツドリンクが勧められるのは、脱水症状を避けるためです。日常的に水分補給をするときは、ミネラルウォーターか、糖分やカフェインが含まれないタイプのお茶を飲みましょう。糖を含まないならブラックコーヒーや紅茶、緑茶などでも悪くないのですが、これらはカフェインを含み、若干の利尿作用があるため、これらだけに頼らないようにしましょう。

■まとめ

汗をかくときほど、水分補給が大切だろうと清涼飲料水をがぶ飲みしがちですが、逆にのどが渇いた経験がある人も多いでしょう。そういう飲み方は、急性の糖尿病の恐れがあるということです。十分に注意してドリンクを選びたいものです。

(品川緑/ユンブル)

取材協力・監修 福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。大阪府内科医会会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』 (ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。
http://dmclinic.jp/

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