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第39話 般若のように

「わかりました。他に何かあります?」

ああ「別れる」って言わなきゃいけないんだ。
既婚者相手だから、仕方ないのは頭ではわかる。
でもやっぱり、別れを口にするのは悲しい。
たとえウソでも言いたくない。
でもそのことは、孝太郎にも黙っていた。

それから毎日、孝太郎とは社内PCで連絡した。
奥さんは孝太郎には不気味なほど普段通りで、
わたしの話は一切してないらしい。
「もしかしたらふたり、いい友だちになれるかも」
なんて孝太郎は言うけど、それはあり得ないよね。

そして土曜日。わたしは、
いつもより念入りにお化粧し、髪を整え、
孝太郎の奥さんの待つカフェへ向かった。
ものすごく気が重かったけれど、仕方ない。

時間の10分前にカフェのドアを開けた。
3人組の女性が2組とカップルが3組。
そして中年女性が1人、奥のテーブルに座っていた。

「あの……宮部さんでいらっしゃいますか」
声をかけると、女性はゆっくりと顔を上げた。
血走った恐ろしい目が、こちらをにらんでいた。

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