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第24話 息が止まりそう

「じゃあ、また」
美術展を見終わり、軽くお茶をすると、
孝太郎とは上野の駅で別れた。

わたしたちは別れる時、次に会う約束ができない。
電車で家に向かううち、気分は重くなっていく。

「今夜はディナーはなしか」と思うと、
うらめしくなってくるし、
「孝太郎は家に帰って、奥さんと食べるんだ」
と思うと、心に黒いモヤが広がっていく。

家に着く頃には、楽しい気持ちもすっかり消え、
親と夕飯を食べると、シャワーを浴びて、
早々にベッドに入った。でも眠れない。
「わたし、何やってんだろう」
やっぱり、もう別れた方がいいんだろうな。

そして翌日。月曜の朝はいつもどんよりしている
後輩の絵里香ちゃんが、
なんだか楽しそうに、わたしのそばに寄ってきた。

「先輩、昨日、上野の美術展に行きました?」

ゾッとした。
全身に、氷水をかぶったような気分だった。

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