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専門家 不調

夏風邪ではない! 耳鼻咽喉科専門医が教える、「寒暖差アレルギー」の見分け方

ユンブル

ジメジメと蒸し暑い屋外からクーラーの効いた室内に移動したとき、くしゃみが何度も出て鼻水が止まらない……という経験はありませんか。「夏風邪?」と思いがちですが、「ほかに風邪のような症状が見られず、花粉によるアレルギーもない場合は、寒暖差アレルギーの疑いがあります」と話すのは、耳鼻咽喉科専門医で、とおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長。詳しいお話しを聞いてみました。

■温度差が激しいと、鼻の粘膜の血管がひろがる

―「寒暖差アレルギー」という言葉を初めて聞きました。どういった病気なのでしょうか。

遠山医師 医学的には、「血管運動性鼻炎」と言います。アレルギー性鼻炎と同じく、激しい「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」を起こしますが、原因は花粉やダニのような特定のアレルゲンではありません。環境に過敏に反応して、症状が出ると考えられています。

―環境とは、この場合、屋外から室内に移ったときのことを指すのでしょうか。

遠山医師 そうです。寒暖差アレルギーは、文字通り、「冷」と「暖」の温度の変化が引き金になります。

暑い屋外から涼しい冷房が効いた室内に入ったときに限らず、寒いところから暖かい地点へ移動したとき、寒い日に暖かい布団から出た直後などに起こります。

くしゃみを連発する、ポタポタと落ちるような鼻水、激しい鼻づまりがありますが、1~2時間で周囲の温度に慣れてくると症状が治まってくることもあります。

―なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

遠山医師 はっきりとした原因はまだわかっていませんが、自律神経の働きが関係すると考えられています。

自律神経は体の機能を周囲の環境に適応させる役割があり、活動しているときに働く「交感神経」と、リラックスしているときや睡眠中に働く「副交感神経」の2つがバランスをとり合って、健康を維持しています。

交感神経には、血管を収縮させて、くしゃみや鼻水などの症状を抑える働きがあり、もう一方の副交感神経には、鼻汁を分泌する働きがあります。

自律神経が適応できる寒暖差は、一説には5~6度までと言われています。それ以上になると自律神経のバランスが乱れて、鼻の粘膜の血管の収縮がうまくいかず、ひろがります。

すると、諸症状をコントロールできずに、鼻づまりが起こる、膨張した血管から水分がもれて鼻水が出る、くしゃみが出るようになります。

寝不足や疲労、ストレスなども自律神経の働きを低下させる要因になります。そんなときに、冷暖房が効きすぎた空間や、旅行などで温度差が大きい環境に移動すると、寒暖差アレルギーが出やすくなるでしょう。

■女性は特に体を冷やさないように注意

―寒暖差アレルギーなのか、夏風邪かを判断する基準はありますか。

遠山医師 鼻水の状態に注目してください。風邪のときの鼻水は、透明でサラッとしたものから、1週間ほど経つと黄色くドロっとした粘着性のあるものに変わり、やがて治まります。寒暖差アレルギーの場合は、花粉症と同じで透明でサラサラしていて、大きな温度差があると常に出るのが特徴です。

また、寒暖差アレルギーの症状の多くはくしゃみ、鼻水、鼻づまりの3つですが、倦怠感やイライラ、不眠、食欲不振を訴える人もいます。夏風邪の場合は、鼻水のほかに、高熱、のどの痛み、せき、頭痛、下痢、腹痛などが多く見られます。

―寒暖差アレルギーが女性に多いというのは本当でしょうか。

遠山医師 女性は男性に比べて自律神経のバランスが乱れやすいこと、また、筋肉量が少なくて冷え症であることが多いため、そのように言われています。当院の患者さんでも実際に女性が8割です。また、花粉症など元々何らかのアレルギーがある人に多い傾向があります。

―寒暖差アレルギーの予防法や対処法はありますか。

遠山医師 まずは何よりも、エアコンの設定温度や衣類で温度差を調節するようにしてください。案外、これを実践していない人が多いように思います。また、冷暖房が効いた室内に入る前にマスクを着用して、空気が一気に鼻に入るのを予防する、マスクがないときはハンカチで鼻を覆うなどでも有効でしょう。

特に女性は、冷房の効いた部屋では露出が多い服装を避けるなどして、体を冷やさないようにしてください。夏でもぬるめのお湯で半身浴をするなどして、体を温めるようにしましょう。

また、日ごろから自律神経の働きを整えるために、十分な睡眠、栄養のバランスの整った食事、適度な運動を心がけましょう。

アレルゲンが特定されないだけに、市販薬も病院で処方される薬も症状を抑える対症療法となりますが、市販薬の場合はアレルギー性鼻炎と同じく内服薬や点鼻薬が、処方薬でも抗ヒスタミン系の内服薬や点鼻薬、漢方薬などがあります。1週間ほど服用して改善の様子をみましょう。

―病院に行ったほうがいいタイミングを教えてください。

遠山医師 鼻水が長く続く場合や、頭痛がする、眼の奥が痛い、せきやたんがでる場合は、耳鼻咽喉科や内科などの医療機関を受診して相談しましょう。

■まとめ

温度差に体が反応して、寒暖差アレルギーと呼ばれるほどの激しいくしゃみや鼻水を引き起こすことがわかりました。いまいる場所の気温や温度に気を配って体が冷えることを予防し、また、自律神経の働きが低下しないように、寝不足や疲労、ストレスのため込みに注意する必要があるということです。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修:遠山祐司氏。耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。大阪市都島区医師会会長。医学博士。とおやま耳鼻咽喉科院長。
とおやま耳鼻咽喉科:大阪市都島区御幸町1-9-1
http://www.eonet.ne.jp/~tohyamajibika/

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