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第14話 わかった上で、なお

菜々子は、やはりやさしく微笑みながら、
わたしが一番考えたくない未来を言う。
胸がチクリと痛んだが、それも全部、
わたしのためを思っての言葉と知っている。

「うん、ありがとう。それはわかっている。
でもやっぱり好きで、まだあきらめきれない」
「そっか。わかっているならいいよ。
でも、もうわたしたち、28歳だもの。
先のない恋愛している余裕、ないよ」

そうだった。いつの間にか、28歳だった。
大学を卒業してから、もう6年も経つ。
「今日は、本当にありがとうね」
「ううん。気にしないで、また呼んで」

菜々子は菜々子で、6年も付き合いながら、
「結婚は気が重い」という彼との今後を、
ずっと考えている。
別れられないのは、ふたりとも同じなのだ。
いや、それでも菜々子の彼は説得ができる。

「もう何度、菜々子に同じ話をしたことだろう」
自分の進歩のなさを情けなく思いながら
わたしは生暖かい夜風の中を、
ため息をつきながら帰っていった。

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