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第1話 空を見上げて

その朝、わたしは映画のセットみたいな、
作り物のように青い空を、
首が痛くなるほど、すっと見上げていた。

3機の飛行機が、次々と空へと舞い上がる。
低い耳鳴りのようなゴーっという音が、
小さくいくつも響いている。

孝太郎の乗った飛行機は、
わたしから離れ、いちばん遠くを行く。

朝、ホテルを出る前のキスが、
まだ唇に残っているのに。

「ま、仕方ないか。いつものことよね」

心の中でつぶやくと、わたしは軽く微笑んだ。
孝太郎の月に一度中国出張は、
決まっていることだし。

何より、彼にはもともと、奥さんがいる。
最後はわたしから、遠く離れていく人。
それは、最初からわかっていることだ。

日差しは痛いくらいに強い。
わたしは滑走路に背を向け、空港を後にする。

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