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第59話 玉砕覚悟の告白

私の言葉に、佐伯が驚いた顔で振り返った。

そうだ。私、告白しに来たんだ。
絶好のチャンスじゃない。ちゃんと言おう。
「そういう不器用なとこ、好きだよ」
正面から顔を見据えて、きちんと告白をした。
エライ、私。
こんな自分、ちょっと前には考えられなかった。
「ありがとうございます。
先輩にそう言っていただけると、がんばれます」
佐伯は私に向き直り、照れくさそうに礼を言う。

あれ? 通じてない。
そうか、なんか足りないんだな。
でも、愛してるとかいきなり言うのはキモいし、
ちょっとちがう気がする。
「そういう意味じゃなくて、こういう意味」
勇気を出して佐伯に近づくと、
無駄な肉の一切ついていない腰に抱きついた。
ほんの少し汗のにおいがして
胸がきゅんと締め付けられる。
「え? あなた正気ですか」
ひどい言われようだ。
そりゃ、いきなり抱きつかれたら
迷惑かもしれないけど。
佐伯の汗のにおいを吸い込みながら、
軽く抗議する。
「……ちょっと、それはひどくない?
化石ががんばって告白してるのに」
「やっぱり、これは、愛の告白なんですか?」
「いや、愛とか言われると照れちゃうけど……」
「まいったな……」

そうか。やっぱり困るよね。
突然、会社の先輩から告白なんてされたって。
でもいいんだ。もともと玉砕覚悟だし。
抱きついていた腕を離し、そっとその体から離れる。
「言いたいだけだから、気にしないで。
これで気が済んだから」
不思議と涙は出てこない。
むしろ、晴れ晴れとした気持ちだ。
きちんと告白して振られるって、
こういう気持ちだったのね。

「いえ。その。そういう意味じゃなくて。
しまったな……」
こちらはスッキリしているというのに、
佐伯の態度が煮え切らない。
いったいどうしたのだろう。
「何がしまった、なの?」
「いえ。せっかく告白していただいたんですが、
これから無職になるし、
親に勘当されるかもしれないし、
獣医になれる保証もないし、自分を
カッコイイと思える要素がないので……」

あれ、この態度。
もしかして、私、振られてない?

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