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専門家 不調

疲労と睡眠の医学博士が教える。「飽きた」は脳が疲れているサインだった!

ユンブル

仕事中、長時間同じ作業をしていると「飽きた」と感じてきます。「それは実は、脳が疲労を起こしはじめたというファーストサインです。使い続けた部位を休ませるようにと、脳が指示を発することが脳科学的に明らかになっています」と言うのは、大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授で、東京疲労・睡眠クリニック(東京都港区)の梶本修身(かじもと・おさみ)院長。詳しいお話を伺いました。

■脳の神経細胞がダメージを受けている

仕事では、同じ作業ばかりを続けなくてはいけないことがあります。ネットでリサーチを続ける、伝票に数字を入力し続ける、荷造り作業を続けるなど、1時間もするとなんだか飽きてきたなあと思います。「そんなとき、脳ではある変化が起こっています」と話す梶本医師は、その変化についてこう説明します。

「脳は『神経細胞』でできていますが、ひとつの神経細胞は1000個以上の神経細胞とつながって、複雑で多様なネットワークをつくっています。そして、特定の作業をするように体に指令を出しているのは、脳内のある一定のネットワークです。

同じ作業を長時間続けると、一定のネットワークに負荷が集中することになります。すると、その部分の神経細胞が、『酸化ストレス』によって疲弊することがわかっています」

酸化ストレスとは、紫外線を浴びた肌の細胞がさびて炎症をおこす、老化を加速させるといったことと同じ現象を言うのでしょうか。

「そうです。酸化ストレスにさらされると脳の神経細胞は劣化して、情報処理能力が低下します。そこで、その脳のネットワークから、『これ以上、同じ神経細胞ばかりを使うのはやめてくれ』という信号が出ます。それが、『飽きた』という感情になって表れるわけです」と梶本医師。

では、「飽きた」と感じることを無視してさらに同じ作業を続けると、脳はどうなるのでしょうか。健康を害することがあるのでしょうか。

「脳の神経細胞がダメージを受け、脳そのものの疲労がつのります。アラームとして、頭がずんと重くなる、目がしょぼしょぼする、肩がこる、眠くなるなどの症状が現れるでしょう。

ですから、飽きたと感じたら、それは脳が疲労しているのだと自覚して、すぐに休息をとる必要があります」と梶本医師は、「飽きた」という感情と「脳疲労」の関係を強調します。

■同じ作業を続けるのは、1時間~1時間30分までにする

次に、仕事の効率を上げるためにはどうすればいいのかについて、梶本医師は次のようにアドバイスをします。

脳が疲労せずに同じ作業を続けることができるのは、1時間から1時間30分までだということがわかっています。

たとえば、自動車で高速道路を運転するとき、1時間ごとに10分ほど休憩しながら3時間30分を走るのと、3時間運転を続けてから30分の休憩をするのでは、同じだけ休憩時間をとっていても、3時間の運転を続けたほうが脳は疲れます。

仕事や勉強、運転などで同じ作業を続ける必要がある場合は、あらかじめ、『飽きる』ことを前提に計画を立て、『飽きた』と感じる前に休息をして気分転換をはかりましょう。そのうえで、ちがう作業に切り変えると、脳のパフォーマンスの低下を防ぐことができるでしょう。

またそのほうが、疲労したとしても、休息や睡眠で疲労からの回復も早くなると考えられます」

梶本医師はさらに、「集中力を高めることは脳疲労につながる」とも言います。

「仕事や勉強に飽きたと訴える人に、『集中力を高めなさい』とアドバイスするのは、脳科学的に考えて間違いです。なぜなら、何かに集中するということもまた、脳の同じネットワークばかりを使うことになり、脳疲労が蓄積して仕事や勉強の効率が低下するからです。

意識を分散して、より多くの脳の神経細胞を使うほうが作業効率はアップします」

■まとめ

そういえば、「飽きた」と感じても仕事だからと思い直して継続していると、意識がぼんやりしてくる、頭が痛くなることはよくあります。結局は作業効率が下がることをしていたのだと、ハッとしました。これからは、「そろそろ飽きるな」と思えばすぐに休憩し、ちがう作業に取りかかるようにしたいものです。

(海野愛子/ユンブル)

取材協力・監修:梶本修身氏。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。国家プロジェクトとして疲労対策の研究を続ける。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)、『「体の疲れ」が消える本』(成美文庫)ほか。『林修の今でしょ講座』『たけしの家庭の医学』(テレビ朝日)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)ほかメディアに多数出演、睡眠と疲労に関する新常識の提案、分かりやすい解説で知られる。

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