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第55話 化石の本気

今度こそ、化石を卒業しよう。
心が動いたんだもん。
ちゃんと誰かを好きだって自覚できたんだもん。
相手がただの後輩で、
来週には本社に行ってしまう人だとしても、
せめて想いを伝えたい。

マンションの前で決意を新たにし、
その想いを抱えたまま週明けに出社すると、
佐伯のデスクがキレイに片付いていた。
「え……?」
なんで……。異動は来週のはずなのに。
慌てて部長に確認しに行くと、
引継ぎが終わったので辞令より早く
本社に呼ばれたのだという。
「送別会ぐらいさせてくれればいいのに」
「そういうのは苦手だと言ってたよ。
君には感謝していた。
私も今回の件で君を見直したよ」
佐伯が会社に溶け込むことができたのは
私の功績だと部長は考えてくれているのだろう。
でも、本当は逆だ。
私のほうこそ、佐伯には色々と変えてもらった。
慣れた業務が実は古びたものだと
気づかせてくれた。
身なりを指摘されて初めて、
それが自分の評価を必要以上に下げていたと
気づかせてくれた。
人とかかわることのおもしろさも、
初めて知ったと思う。
先輩とのデートも優香との合コンも
佐伯の存在なしにはきっと叶わなかった。

「失礼します」
部長の部屋から出るころにはもう決意を固めていた。
今日、会いに行こう。
仕事が終わったら、一番に。

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