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第50話 佐伯の決意

翌朝、佐伯は思ったよりシャッキリとした様子で
会社に現れた。
「おはようございます」
いつも通りコーヒーを2つ持ってきてくれている。
「昨日は失礼しました」
恥ずかしそうに目をそらしながら
礼を言うところが可愛い。
「いいのよ。私も先輩になったって
実感が持てておもしろかったから」
これは本当。
やっとメンターとしての仕事を全うできた、
って気がする。
「私にできることは少ないかもしれないけど、
また何かあったら相談してね」
「ありがとうございます」
感っ動! 佐伯がこんなに素直に
お礼を言ってくれるなんて!

「昨日話したことですが……」
「あの夢とか会社とかの話?」
恥ずかしそうに頷く佐伯を誘い、
昨日の非常階段へ移動する。
階段に腰掛け、
コーヒーを両手で包み込む様子も可愛い。
……なんか昨日から私、変だ。
佐伯を見る目に変なフィルターがかかってる。

「獣医諦めたのも、この会社に入ったのも
自分で決めたことなのに、人のせいにして……
カッコ悪いですよね……」
「カッコ悪い……かなぁ?」
自分で決めたと言っても、
正しい情報を与えられずに誤解した結果の決断だ。
事実がわかって心変わりするのは
仕方がないことだと思う。そう伝えると、
佐伯はほっとしたように笑顔を見せた。
「やっぱり……先輩はどんなことでも
受け入れてくれるんですね」
「ん?」
「馬鹿にしてもカッコ悪いところを見せても、
全部受け止めて、投げ返してくれる」
「いや、いや、そんなことないよ。
君の嫌味攻撃は相当頭にキてたから」
「それでも勉強してくれたでしょう?」
「うーん、まあ、一応」
なんかこう手ばなしで褒められると
恥ずかしくていたたまれない。
「だから僕もいったん、
母を受け入れてみようと思います。
辞令に従い、本社で働きながら、
母を説得してみます。まずは相手を受け入れ、
少しずつ一緒に変わっていく。
そんな風に、今からでもできればなと」

「……なんか、たった1日で大人になったね」
「先輩のおかげです。小林先輩がメンターでよかった」
笑顔がキラキラと眩しい。
あまりにも素直になりすぎて逆に心配だけど、
何かあったら私が守ってあげよう。
そう思わせる可愛い笑顔だった。

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