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第47話 なでたくなる頭

……なんか告白タイムきた。
もしかして、さっきから飲みまくってたのって、
勢いをつけるため?
「母を支えなければという思いから夢を諦め、
こちらの道に進みました。ただ……」
ダン! とビールジョッキを机にたたきつけられ、
慌てて周囲に頭を下げる。
もう! びっくりするじゃない。急に。
「全部、嘘だったんです」
机につっぷし、声を荒げる佐伯くん。
わーん。この子、酒乱だ。
先に言ってよー。こうなるとわかってたら、
こんなに飲ませなかったのに。
「うんうん。何が嘘だったの?」
仕方がないので、なだめるように話を聞く。
「全部です。全部」

佐伯くんの話をまとめるとこうだ。

母親に「不安だ」「会社を守ってくれ」と
泣きつかれ、後継者になるための勉強をした。
しかし入社直前、父の生前から実質経営者は母で
佐伯はお飾りの社長として必要とされている
だけだったことが判明。
その上、猫アレルギーも嘘。すべて、佐伯を
後継者にするための演技だったらしい。
これを知った佐伯は夢を諦めたことを後悔し、
会社をクビになろうと嫌味な態度を
とり続けてきたらしい。

なるほど。社長が母親だから、社内で猫好きが
広まると困ったのか。やっと疑問が解消された。
それはいいのだけど……

「嫌味な態度とかとらずに、
普通に辞表出せばよかったじゃない?
私、かなり精神削られたんですけど」
「受け付けてもらえると思いますか?」

佐伯くんのお母さんがどんな人かわからないから
何とも言えない。
けど、無理だと思い込ませるだけの
何かがあるのだろう。

「最近、仕事がおもしろくなってきて、ようやく
辞めたいという気持ちが薄れてきたのに……」

たしかに最近の佐伯は楽しそうだった。
周囲への態度も和らいでいたし、
私の意見も聞いてくれるようになっていた。
「おもしろいと思ってくれてうれしいよ、私は」
目の前に頭があるので
思わずポンポンと撫でてしまう。
あ、これ、青山先輩の仕草と同じだ。
懐いてくると、
後輩って可愛く見えちゃうものなのね。

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