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第46話 猫好きだっていいじゃない

「好きなんですよ。動物。
可愛いですよね。純粋無垢で正直で」
あんなに否定していたのに、
やっぱり好きだったのね。

「プレゼンの日はすみませんでした。
突然、苦しみだしたから驚いて病院へ運んだら、
そのまま手術だって言われて慌てて」
そうかぁ。
あの日、私はこの子のためにがんばったのか……。
「ペットのために大切なプレゼンを休むなんて
社会人として最低だと思いました。
言い訳もできない。
それなのに先輩はひとことも責めずに
黙ってカバーしてくれて……」
私、責めなかったっけ?
責めたような気もするけど、もう覚えてないや。

「まあ、誰にでも事情はあるものだし……」
フォローしながら、写真をみると、
やはり見覚えがある気がする。
「これって、会社近くで拾ってた子?」
私が聞くと、佐伯は目を丸くした。
「見られていたんですか……?」
頷くと、佐伯が納得したように手を打った。
「それで、やたらと猫攻撃してきたんですね。
付箋とかシャープペンシルとか」
「あはは。和むと思って」
「こちらはヒヤヒヤしていたんですよ。
いったいどこでバレたのかと……」
「バレたらまずいの?」
猫好きだって別にいいじゃない。
スタイリッシュなイメージからは離れるけど、
好感度は逆に高いと思うけど。
ギャップ萌え、ってやつで。

「母親に、バレたくなかったんです」
母親? 会社と母親と何の関係が?
「僕は幼い頃から、動物を遠ざけられてきました。
理由は母のアレルギーです。呼吸困難を起こすから、
動物には触るなと言われて」
ここでグビリと酒を飲み干す。
うん。いい飲みっぷりだね。
「好きで好きでたまらないのに、触れることも
許されないんです。獣医になりたいと言ったときは
『私を殺す気?』と全否定されました」
今度はゲソを噛み千切った。
王子がオヤジ化してるよ……。
「それでも父が生きているうちは……
こっそりと味方になってくれていたんです。
東大に入れば後から獣医学部を選べると
勧めてくれたのも父です。でもその父も
僕が学生の時に亡くなってしまって……」

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