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第45話 佐伯の秘密

どこからどこまでが本当の佐伯くんなの……?
安いビールやチューハイをぐびぐびと飲み、
焼き鳥やエイヒレをポイポイと
口に運ぶ様子を見ていると、
これまでの彼は、
猫をかぶっていたのだなと感じさせる。
それでいて、話す内容はいつも通り、
仕事のことばかりだ。

「A社用のカスタマイズは、
先輩のオールドファッションのほうが
合うと思うんですよね」

うん。可愛くない言い方だが、これは
佐伯くんが私を認めてきてくれている証拠だ。

あのあと、2人そろって何食わぬ顔で席に戻り、
通常通りの業務をこなした。
私は佐伯くんのことが気になりすぎて
ほとんど進まなかったが、佐伯はいつも通り
バリバリ仕事をこなしていたように見えた。
そして、今、そのことを証明するかのように
作業内容や新設計などを話し続けているのだ。

いったい、どういうつもりなのだろう。
あんなことがあったあとの誘いだから、
何か言いたいことがあるのだと、
私は思ったのだけど。

それにしても飲みすぎだ。すでに顔が赤い。
いつもピンと伸びている背中も
やや曲がり気味になってきている。
「ねぇ……」
これ以上飲むのはよくないと思い、
酒をとりあげようとしたその時。
「まあまあ」
佐伯は手の平を向けて私を制すると、
床に置いた背広の内ポケットから何かを取り出した。
「これ、うちの子です」
「はい?」
佐伯が手にしていたのは、手足が短い子猫の写真。
ひょっとして、あの時拾っていた猫だろうか。

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