美容師が教える! 髪を傷めずに、手早く乾かす手順とコツ
髪を乾かすとき、適当にドライヤーをあててはパサパサに傷む……ということはありませんか。そこで、ヘアメイクサロン・MINT(ミント・東京都渋谷区)の美容師で、毛髪診断やヘアケアについて専門的知識を持つヘアケアマイスターの磯部幸弘さんに、髪を傷めないでうまく乾かす手順など、詳しいお話を聞いてみました。
ドライヤーのあて過ぎ、生乾き、自然乾燥は×
ドライヤーの乾かし方次第で髪が傷む理由について、磯部さんは次のように話します。
「濡れている髪は、毛髪の表面を覆う細胞の『キューティクル』が開いている状態です。キューティクルは毛髪のバリアの役割があります。
ドライヤーをあてる時間が長いと、開いているキューティクルから熱で水分が奪われ、乾燥しやすくなるので、できるだけ短い時間で効率よく乾かすようにします」
それでは、ドライヤーを使わないで自然乾燥のほうがいいのでしょうか。
「自然乾燥だと生乾きの状態で放置することりになりますが、これはもっとも髪が傷む原因になります。髪の内部の成分が抜け出す、髪と髪がこすれやすい状態のため、摩擦でキューティクルがはがれ、パサつき、切れ毛や枝毛などの傷みを引き起こします。
さらに、頭皮に住む菌やカビが繁殖して不快なにおいを発する、内臓の冷えにつながることもあると言われています。
このような理由で、髪を洗った後はなるべく早くドライヤーを使って乾かす必要があります」(磯部さん)
濡れた髪を放置しておくよりも、ドライヤーで乾かすほうがダメージが少ないということです。
髪をパーツに分け、根元から髪先へ乾かす
ここで磯部さんに、「髪を手早く美しく乾かす手順とコツ」を教えてもらいましょう。
(1)タオルで水気を取る
まず、髪をタオルで覆い、頭皮の水分と髪の根本付近を手で押さえるようにして拭き取ります。次に、タオルで髪をはさんで両手のひらでパンパンとたたくように水気をしっかりタオルに吸い取らせましょう。ティッシュペーパーで毛先をはさんで水分を取ってもOKです。
このとき、タオルでゴシゴシと拭くと摩擦で髪が傷みやすくなるので避けてください。
(2)タオルを1~2分、髪に巻いておく
髪と髪の間の水分がタオルに吸収されて、より水分が抜けやすくなります。
(3)洗い流さないタイプのトリートメントを使う
髪が傷んでいる場合は、洗い流さないタイプのトリートメントを使いましょう。熱から髪を保護してくれます。そのうえで、ブラシを使わず、指先を広げて髪に空気を入れるようにしてドライヤーをあてましょう。乾きが早くなります。
(4)パーツごとに、髪の根元→全体の順に乾かす
髪を前髪(フロント)、顔の周り(サイド)、頭頂部(トップ)、後頭部(バック)の4カ所におおまかにわけます。フロント→右か左のサイド→トップ→バックの順に、根元から毛先に向けて乾かすという作業を繰り返します。
根元を乾かす間に髪の中間部分は自然に乾いていくので、毛先に長くドライヤーをあてる必要はありません。
(5)髪全体に冷風をあてる
人さし指と中指で髪をはさんでゆっくりと引っ張りながら冷風をあてると、髪にツヤが出て、見た目に美しく仕上がります。
最後に磯部さんは、ドライヤーをあてる方向について、こうアドバイスを加えます。
「後ろ髪を乾かすときは、下を向いてドライヤーを髪に垂直にあてると、内側の髪や頭皮が乾かしやすくなります。またこの状態で、手で髪を真上に持ち上げながら乾かすと、引っ張る力で頭頂部がふんわりと仕上がってスタイリングしやすくなるでしょう」
まとめ
早く乾かしたいからとゴシゴシとタオルで頭を拭いていましたが、それは髪を傷めるもとだとわかりました。さっそく、水気をよく吸い取った後に、ドライヤーを頭のパーツごとに空気を含めるようにして根元から毛先の順にあて、冷風で仕上げてみたところ、短時間でほどよいエアリー感がある仕上がりになりました。ぜひお試しください。
(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修:磯部幸弘氏。日本ヘアケアマイスター協会認定ヘアケアマイスター。美容師。ヘアメイクサロン「MINT」(ミント・東京都渋谷区)に勤務。
MINT 東京都渋谷区恵比寿南2-5-9 内藤ビル202
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