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第64話 寂しい春

「その、小百合先輩がいなくなるの、寂しい?」
慎也にたずねられ、しばらく間を置いてから、
わたしは正直に答えた。

「うーん、微妙な気持ち。
小百合先輩、ずっと仲良しだと思っていたのに、
わたしが言ってた課長の愚痴を、
わたしのいないところで、課長に話してたんだ。
それがわかった時点で、彼女が信じられないし、
関係もすごくぎこちなくなって。でも……」
「でも?」
「やっぱり、少し寂しいかな。
仕事はとてもがんばってた人で、
それを見てわたしも愚痴ばかり言ってないで、
がんばろうって思い始めたところだから」

「そういうの……偉そうに言っちゃうと、
成長したって言うんだよ。たぶん」
慎也は笑って、気持ちよさそうに伸びをした。

「ありがとう。わたしもそんな気がする」
わたしも笑って伸びをすると、
少し肌寒くなったのでカフェで、
お茶にしようと持ちかけた。

入り口まで肩を寄せて歩き、扉を開けると、
小さな男の子が駆け出てきた。

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