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第31話 そんなことって……

たぶんわたしは安斎課長に、
とことん嫌われているんだろう。
課長の神経質そうな額の縦じわが、
さらに深さを増している。
そのイライラがこちらまでビンビンと伝わって、
わたしのおでこにまで、
おそろいで縦じわができそうだ。
早く課長から離れたい。

「森尾、おれはたしかに細かすぎるかもしれない。
だが、細かく物事を観察するからこそ、
客の立場で、客の目線で企画がたてられるんだ。
これは粗探しとはちがう。頭の訓練だ。」

聞いたとたんに背中がゾクっと寒くなった。
「安斎課長が細かすぎる」
「粗探しばかりする」という愚痴は、
小百合先輩と慎也にしか言っていない。
それを安斎課長が知っているということは。
もらした人物はひとりしかいない。

「客に喜んでもらおうという強い意思がないと、
いい企画にはならん。そこを踏まえて書き直しだ」

わたしは課長に「はい」を繰り返しながら、
小百合先輩に裏切られたことに呆然としていた。

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