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第49話 こんなに想われているのに

会社から離れた駅にある個室居酒屋で、希美に会った。
乾杯してから、希美はずっと廉のことだけを話し続けた。
「廉が私のことそんなに好きじゃないっていうのは、
うすうすわかっていたんだ。
でも、だからこそ、もっと私を知ってもらって、
少しずつでいいから好きになってもらいたいと思っていたのに」
聞けば聞くほど、希美の廉への想いの深さが伝わってきて、
切ない気持ちになる。
それでも、希美の気持ちがラクになってくれるならいい。
今夜はとことん付き合ってやろう。

それにしても、話を聞いていると廉への怒りがまたわいてくる。
こんなに希美に思われているのに、なんてやつだ。
「あいつ、最低だな」僕が廉を悪く言うと、
希美は「ちがうの。廉は悪くないの」と廉をかばった。
「廉、こうも言ってた。『深い仲になってから別れるのは、
そういうことを目的にしてたみたいで嫌だ。
関係が浅い今のうちに別れよう』って。誠実な人なんだよ」
そういうの、誠実って言うのか? と疑問に思いながらも、
希美が廉と深い関係になっていなかったことに安堵した。
そして、話の生々しさを気恥ずかしく思った。

「こういう話って、女性どうしのほうがいいんじゃないの?
詩織に話したほうがすっきりしそうだけど」
希美は首を横に振った。
「詩織はダメ。恋バナは専門外って、前に断られた。
それに新なら、廉から何か聞いてるんじゃないかと思って」
なるほど、情報収集できると思ったわけか。

しばらく聞き役に徹していたとき、ふと頭をよぎった。
希美が廉と別れたってことは、チャンスなんじゃないのか?

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