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第15話 ショックな出来事

花火大会から2週間が過ぎた。
希美も僕も、たまたま忙しい日が続いて、
食事に行く話は宙ぶらりんになっている。
落ち着いたらちゃんと誘おう。
そう思いながら、仕事を優先させていたある日。

「河合さん、ちょっと」
うちの営業マンに病院で呼び止められた。
「緑川先生がうちのTW錠をやめるって聞いたんだけど。
河合さん、先生と何かトラぶった?」
寝耳に水だった。
「何もないですよ。緑川先生とは長いし、
今さら地雷を踏むようなことはしてないと思いますけど」
「そうか。じゃあ、ライバル製品にやられちゃったか」
ライバル社って、どこだ――?
どの会社の薬を採用するかは、医師の権限だ。
後発でいい薬が出れば、切り替えられることもある。
ただ、うちより明らかに優れた特長のある薬ならともかく、
似たような薬で切り替えるのだとしたらショックだ。

どこの薬に替えるつもりなのか、緑川先生に直接尋ねようと
医局へ向かった。すると途中で、当の先生にばったり会った。
挨拶もそこそこに「TW錠のことなんですが」と切り出した。
先生の顔に、気まずそうな笑みが浮かんだ。
「ゲルニート製薬で新薬が出てね。ほかで効果を上げているっていうから、
うちでも試してみようってことになったんだ」

ゲルニート製薬……。担当MRの顔が頭に浮かんだ。
いつもニヤけていて、雰囲気がどことなく廉に似ている。
そう思ったら、悔しさが一気に噴き上げてきた。

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