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第10話 来てよかった

詩織も廉のことを好きなんだろうか。もしそうなら、
僕と同じように嫉妬して、切ない気持ちでいるのかもしれない。
勝手な推測だけど、詩織に片想い仲間としての親近感を覚える。
僕は詩織に話しかけた。
「この間のMRの立ち位置についての話だけど……」
それから花火の場所を確保するまで、仕事の話を続けた。
希美と廉はどんな話をしているんだろう、と気にしながら。

場所取りをしたあと、僕たちは湖のまわりを散歩したり、
近くの店を見てまわったりした。
日が沈み暗くなるまでがあっという間に感じられたのは、
やはりこのメンバーでいることが楽しいからかもしれない。

大会のアナウンスが始まった。期待が高まる。
やがて、バンッという音とともに大輪の花火が打ち上げられた。
「きれい~!」希美が歓声をあげた。
僕も思わず「来てよかった」とつぶやいた。
すると、希美が僕を見てほほ笑んだ。「うん、来てよかった」

一連の打ち上げが終わり、次の打ち上げ準備に入ったとき、
僕は希美に話しかけた。
「東京での仕事はどう? もう慣れた?」
希美は少し顔を曇らせた。
「うーん、まあまあ……かな」
何か困っていることがありそうな気配だ。
「よかったら、話聞くよ。愚痴でも何でも」
「じゃあ、今度お願い。また、おいしいお店を紹介して」
それって、つまり、2人で食事に行くってことか。
しかも、希美から誘ってくれた――明るい希望が胸にわいた。

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