お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

第2話 誘えない理由

きっかけを人為的につくる。
そのためには、食事に誘うのが手っ取り早い。
それなのに、僕はなかなか希美を誘えずにいる。

なんていうか、その、うまく切り出せなかったり。
近くに人がいて、話を聞かれている雰囲気だったり。
メールで改まって誘うのも、今さら変な気がするし。
何しろ希美本人がいつも忙しそうで、
誘っちゃ悪そうな雰囲気をかもし出している。

……ようは僕が臆病だってことだ。
わかってる。わかっているけれど、同じ会社の相手ほど、
うまく行かなかったときのことを考えると、
うかつな行動はとれない。
そんな言い訳をいくつも重ねて、
何もアクションを起こせないまま数カ月が過ぎたある日、
廊下で希美と牧野詩織が話しこんでいるところに遭遇した。

「あ、新」希美が先に僕に気づき、手をひらひらさせた。
それはまさに「手を振る」というよりも、「ひらひらさせた」
と表現するほうが適したはかなげなしぐさで、
これが女子ってものなのかと不思議な気持ちになる。

すぐに詩織も気づいて振り返り、
「今度の社内報、希美に登場してもらうことにしたの」
と手にしていた社内報を僕に見せた。
「それは楽しみだな」と心からの明るい声が出た。
だって、希美がどんなことを思って、どんなふうに
仕事をしているか、社内報を通して知ることができる。

お役立ち情報[PR]