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第61話 誠実な彼は

「一応ね」
そう言ってまた、寂しそうな笑顔を見せた一希は、
ハイボールを飲み干した。氷がカランと鳴る。

「だけど、麻美と話をすればするほど、
彼女の人生設計とおれの人生設計の
ギャップが大きいことがわかったんだ。
おれは大学時代から漠然と、
ふたり30歳前後になったら結婚して、
子ども作って彼女に育児休暇とってもらって
……なんて人生設計していたんだけれど。
麻美は年を追うごとに、
仕事への夢が大きくなっていったみたいで」
「そうなんだ」
「気がついたら、すり合わせが不可能なくらい、
仕事や生き方への考え方が変わってたんだ」

そのまま、わたしも一希もしばらく黙っていた。
わたしは麻美ちゃんの子どもっぽい笑顔を思い出す。
人の成長は、時に切ない。

「なあ、奈津美さ、来週の週末、
もう一度、あのフラワーパークに行ってみないか?」
一希の急な提案に、わたしはとても驚いた。
でも今は、この申し出を断る気にならない。
「え……うん、いいかもね」

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