お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

第60話 埋まらない溝

わたしがそういうと、一希はうつむいて、
少し寂しそうに笑った。
いけない。「しかたなかった」なんて、
悪かったかな。

「うん、たしかにしかたなかったと思う。
って、いうか、ギリギリまで努力したから、
あきらめもついたっていうか」
「努力って……」
「今はおれも別れた方がよかったって納得してる。
でもそれが、理解できるまで、
かなりしつこく麻美を説得しようとした。
やり直そうって、何度も」

「えらいね……。
ちゃんと真剣に向き合ったんだね」

わたしは、素直にそう思った。
麻美ちゃんからしたら、困ったかもしれない。
うんざりしていたかもしれない。
でも一希だってプライドがあるだろうに、
つらかっただろうに、
ちゃんと説得しようとしたのは、立派だと思う。

わたし、ちゃんと宗二さんと向き合ってなかった。
ただ一緒にいただけ、だった気がする。

お役立ち情報[PR]