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雑学 生活

不動産アドバイザーに聞く―マンションには全住戸の扉が開く鍵がある

賃貸のワンルームマンションに住んでいる友人が、「大家さんから、『部屋の下水管清掃日に不在の場合は入らせてほしい』と言われた。鍵はどうするのかと聞くと、『マスターキーで開けます』と。マスターキー? 合鍵のこと? いつでも入れるってこと?」と不信そうに話していました。

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「マスターキーの存在を知らない人は多いです」と話すのは、「快適で安全な一人暮らし・女性の暮らし」をモットーに活動する不動産アドバイザーの穂積啓子さん。詳しいお話を伺いました。

■すべての錠が開く1本の鍵をマスターキーと呼ぶ

「『マスターキー』とは、複数の部屋の鍵を開けることができる1本の鍵を指します。貸主の大家さんか管理会社が所有しています」と穂積さん。ええっ、複数の部屋を開ける鍵が存在するとは……。

「ホテルや旅館では、お客さんに渡す部屋の鍵のほかに、マスターキーがあることは想像がつくでしょう。それが、マンションなど集合住宅にもあります。各部屋の錠だけではなく、玄関、管理室、ゴミ置き場、自転車置き場、裏口など共用部分の錠も、それ1本で開けることができます。

ただし、複数の建物や共有部分がある大型マンションになると、フロアーごとや建物単位でのマスターキーA、マスターキーB、マスターキーCと、複数が存在します。それを統括する鍵を、『グランドマスターキー』と呼びます。

ビル、学校、工場、病院などにあるシステムで、管理責任者が保管しています」(穂積さん)

大家さんなら誰しもそれを持っているのでしょうか。
「すべての貸主が持っているわけではありません。マスターキーのシステムを採用している集合住宅の貸主か管理会社のみが所有しています。このシステムは高価なので、むしろ、アパートや戸数が少ないマンションでは採用されていないことのほうが多いです」(穂積さん)

もしその鍵を大家さんや管理会社が紛失したらどうなるのでしょう。

「マスターキーは事件事故災害が発生した緊急時のみに使用するものです。厳重に保管されているはずですが、万が一紛失すると犯罪を呼びかねない事態になります。すぐに全戸の錠を変更する必要があり、貸主はその費用補てんのための保険に入っている場合もあります」(穂積さん)

玄関のオートロックや非常口は入居者全員が開けることができます。穂積さんは、
「その仕組みを、逆マスターキーシステムと呼びます。エントランスのオートロックは逆マスターキーで、各部屋は個別の鍵で開くように組み合わせる例が多いです。鍵の仕組みは多様です」と説明します。

■元カギは3本。自分以外にも誰かが持っている

マスターキーと言えば、入居時に受け取る「数字が刻印された鍵」のことだと思っていました。
「確かに、私が管理するマンションでも、入居者の大半の方はそのように認識されているようです。入居時に受け取られる鍵には、メーカー名と数字が刻印されているでしょう。それを『元カギ』、もしくは『元キー』と呼びます。

退去するときに貸主に全て返還する必要があります」(穂積さん)

自分の部屋は自分の鍵でしか開かないと考えるのは間違いのようですね。
「そうです。賃貸マンションの場合、安全管理のために、貸主か管理者が各戸の鍵を保管するのは貸主の責務だと考えられます。

入居時に交わす契約書には、『家主または家主の指定した管理者は、建物管理上、あらかじめ入居者に連絡の上、また、防火、防犯、救護など緊急時は入居者の承諾なしで立ち入り点検などの必要な措置をとる』ことが明記されています。

ただし、緊急時以外に入居者に断りなく侵入すると犯罪になります」(穂積さん)

合鍵の存在はやはり気になります。穂積さんはこうアドバイスを加えます。
「一般的に、一つの錠に対する元カギは3本存在します。入居者はそのうちの2本を渡されることが多いでしょう。そのときに、『私の部屋の鍵は、このほかにどなたが何本管理しているのですか』と確認しましょう。

大家さん、もしくは管理会社が1本管理しています、という回答があるはずです。うやむやな返事であれば突っ込んで聞いてください。マスターキーの存在を話されることは少ないでしょうが、この確認は、『防犯意識が高い人だな』と貸主や管理会社に認識されることにつながるでしょう」

マスターキーと元カギの違いが分かりました。自分の部屋の鍵は自分だけではなく、ほかの誰かも持っているということを覚えておきたいものです。

(海野愛子/ユンブル)

監修:穂積啓子氏。「安全で快適な一人暮らし」、「女性の安全な暮らし」をテーマとして活動する不動産アドバイザー。宅地建物取引主任者。コミックエッセイ『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子 東京書籍)の主人公のモデルとなった。

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