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雑学 不調

疲労対策医学博士が教える。仕事で評価されると体は疲れる―運動でもデスクワークでも、疲れの原因は自律神経の疲弊

ユンブル

「ビジネスパーソン世代で最も恐いのは、『隠れ疲労』。仕事で成果が出たとき、心身共に充実していると感じるでしょう。実は、疲れているんですよ」と話すのは、国家プロジェクトとして疲労対策の最新研究を進める、大阪市立大学大学院疲労医学講座の梶本修身(かじもと・おさみ)教授。

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これは驚きの指摘です。「仕事が評価されて疲れが吹っ飛んだ」と思うことはありますが、違うのでしょうか。詳しいお話を伺いました。

■ほめられると、疲労感が消えて疲れが隠れる

仕事の成果が認められ、昇進に結びついたらうれしさで元気いっぱいになります。でも、梶本教授は、「そういう人こそ、疲れています」と警告します。

「評価されるまでには、それ相当の努力をしていたでしょう。顧客や上司に気を使い、残業が続く。トラブルがあると寝つきが悪くなり、忙しいと一日中仕事で睡眠不足。休日もない。そうなると、実質は心身共に疲労困ぱいしています」と梶本教授。

言われてみると、それはありそうです。ですが、評価されるとこれまでの苦労が達成感に変わり、全身に活力がみなぎってくるのではないでしょうか。梶本教授は、

「それが危ない。さっきまで疲れていたのが、ほめられると急に元気が出る、しゃきっとしたように感じます。でもそれは、脳の働きによる錯覚です。疲労感を消して疲れを隠す『隠れ疲労』の状態です。

連日の疲労によって細胞は傷ついています。ほめられたから、昇進したからと、一層と仕事にまい進することはよくありますが、それ相当の休息が必要です」と説明します。

仕事が乗っていると、また遊びで楽しいときも、休息など不要だと思うことがあるのですが……。
「緊張や集中などで、体も脳も駆使する日々を過ごすことになります。すると自律神経の一つ、交感神経が働き続けてバランスを崩し、ある日急に病気になる、予期せぬタイミングで過労に襲われることはよくあります。

頭痛がひんぱんに起こる、肩こり、腰痛が治らない、胃が痛む、熱が出るなど、原因不明の症状が出ることあるでしょう。それは疲労のサインです」(梶本教授)

なにやら、思い当たります。

■体のどこが疲れても、回復法は一つ

梶本教授は、疲労を感じるメカニズムについてこう話します。

「運動をして体が疲れたと感じるのは、実は筋肉が疲れているわけではありません。運動によって呼吸や心拍を早くする、体温調節する脳の自律神経が疲れていることが多いんです。脳はそれを、『体が疲れた』と感じているわけです」

残業時間が長いと、ランニングをしたとき以上に疲れを感じることがあります。

「残業で疲れて頭が重いという症状も、感じているのは脳です。つまり、運動による疲労とデスクワークによる疲労は同じメカニズムです。体の部位の特徴によって、その自覚症状が違うだけです。

運動でもデスクワークでも、疲れの原因は自律神経の疲弊です。だから、本当にいたわる必要があるのは自律神経です」(梶本教授)

とすると、原因不明だと思っていた胃重感や頭痛、肩こり、腰痛は、自律神経のバランスを整えればいっせいに改善する、ということでしょうか。

「そうです。メカニズムが同じということは、すべてにアプローチする方法が同じだと言えます。仕事でも運動でも精神的疲労でも、自律神経のうち、リラックスに働く副交感神経が優位になるよう、休息することで回復します」(梶本教授)

最後に梶本教授は、食事の面からも、
「疲労回復に働くことが科学的に証明されている『イミダゾールジペプチド』という成分が含まれる鶏の胸肉や、マグロ・カツオの料理を食べることをお勧めします。クエン酸も有効です。疲労を感じる前に、朝に摂取してください」とアドバイスをします。

ほめられて喜ぶだけでは疲労は回復していない、勢いで休まずに働き続けると余計に疲れるということを覚えておきたいものです。

(海野愛子/ユンブル)

取材協力・監修 梶本修身氏。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。医師。医学博士。国家プロジェクトとして疲労対策の研究を続ける。著書に『最新医学でスッキリ! 「体の疲れ」が消える本』、『間違いだらけの疲労の常識 だからあなたは疲れている』(永岡書店)。

『ためしてガッテン』(NHK)、『たけしの家庭の医学』(テレビ朝日)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)ほかメディアに多数出演、分かりやすい解説で知られる。

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