お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

休日の朝。恋人の家にいるのに、憂鬱な気分がぬけなくて

「おはよう」の挨拶にも、
同じベッドの健治から返事はない。
土曜日の朝9時。
連日の残業でクタクタだろう彼は、
ゆっくりとした寝息に合わせて、
広い肩や胸をゆるやかに上下させ、
深い眠りからいまだ覚めない。

無精髭の生えている顔は少し青白い。
わたしは健治の髪を手で梳くと、
大好きなあごのラインを指でなぞった。
毎日こうして、いっしょに暮らせたらいいのに。
そう思ったとたん、プロポーズされたという
由布ちゃんを思い出して、ため息が出た。

起こすのもかわいそうなので、
わたしは健治の眠るベッドを抜け出し、
洗面所にある洗濯機を回し、
そのまま身づくろいをはじめた。
鏡の中の自分は、去年より確実に年を重ねている。
健治と早く人生の新しい基盤を作りたい、
と思うのは、わがままなのだろうか。

休みの日の朝、恋人の家にいるのに、
寂しく、憂鬱な気分がぬけない。
家の中はしんと静まりかえっている。
健治が起きるのは、まだだいぶ後だろう。

お役立ち情報[PR]