お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

午後6時、退社して彼の家へ。早く帰ってきてくれるかな

「はあっ? 深水さん、もう帰るんですか」
金曜の午後6時、デスクの上を片付け、
ディスプレイの電源を落としたわたしに、
隣の席の武内くんが、すかさずツッコミを入れる。

「うん、帰る。これから、ちょっとね」
「ぼくの書いた仕様書のチェックは……」
「ごめん! 月曜の昼には必ず仕上げるから」
「まさか……デートだから帰るとかぁ?」

語尾をあげてイヤらしい言い方をする武内くんを、
わたしは両手を合わせて拝み、小さな声で
「お先に失礼します」と言い残しオフィスを出た。

武内くんが言うとおり、今日はデート。
といってもどこへ行くわけでもなく、
彼の……健治の家に泊まりに行くだけだ。
駅中のデリで簡単なディナーとワイン、
それに念のため菓子パンをひとつ買った。

今日は健治、早く帰ってきてくれるかな。
行く道すがら、風の香りは甘く、
すれちがう人たちもどこか楽しそうで、
街の灯もいつもより輝きが美しい。

わたし、今きっと幸せなんだと思う。

お役立ち情報[PR]