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専門家 不調

不妊原因の48%は男性にある! 男性側にある不妊の原因と検査の必要性とは?

病院不妊に悩むカップルの多くは、まず女性が不妊クリニックや婦人科を受診し、さまざまな検査を受けます。不妊というと女性側に原因があるという先入観があるからかもしれません。しかしWHO(世界保健機関)は、不妊症の原因は41%が「女性のみ」、24%が「男性のみ」、24%が「男女とも」、残りの11%はどちらに原因があるのかわからない、と報告しています。つまり、不妊の48%は男性に原因があることになります。

■男性不妊のほとんどは精子をつくる機能に問題アリ

では、男性不妊の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。30年ほど前から男性不妊の治療や研究に携わっている獨協医科大学越谷病院泌尿器科主任教授の岡田弘医師の調査によると、セックスに問題がある射精障害などを除けば、98.8%は精子をつくる機能に問題があったそうです。具体的には「精子の数が少ない」「精子の運動率が低い」「正常な形態の精子の割合が低い」といったケースです。精子をつくる機能に問題があることがわかっても、その7割以上が今のところ原因不明で、その多くは遺伝子の異常だと考えられています。

■精巣にできた静脈のこぶが精子の質を下げる

現在、原因がわかっている中で最も多いのが「精索静脈瘤」で、同院では男性不妊の18.6%を占めます。精巣の静脈に血液が逆流し、こぶのようになった状態を指します。静脈瘤ができると、精巣内の温度が上昇することなどから、精子をつくる機能に問題が起きるのです。精索静脈瘤は男性の15%に見られる身近な症状で、必ずしも不妊になるわけではありません。しかし岡田医師はこう話します。
「卵子が加齢とともに老化するように、個人差は大きいですが精子も老化します。さらに精索静脈瘤があると精子の老化が加速するのです。このため、1人目は自然に授かったのに2人目がなかなかできないという場合、男性側に精索静脈瘤があるケースが多いのです」

精索静脈瘤は、手術による治療が可能です。静脈瘤ができている血管をしばり、逆流を防ぐことで、精巣内の温度が下がることなどから精子が形成されやすくなります。この手術によって60%の人の精子の質が改善し、自然妊娠も期待できます。

■夫側も男性不妊の専門医を受診しよう

精子の数や運動率などは、マスターベーションによって採取した精液を調べる精液検査でわかります。女性が婦人科を受診した場合、一般的に女性がさまざまな検査を受ける中で男性も精液検査も受けることになります。病院で渡された容器を女性が持ち帰り、その容器に夫が精液を採取し、女性がそれをクリニックに持参します。しかし、婦人科の医師は精子に関しては専門ではありません。そこでわかるのは、精子の数が少ない、運動率が低いといったデータだけで、その原因までは調べないケースが珍しくありません。たとえ精索静脈瘤などの原因がわからなくても、体の外で精子と卵子を受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻す「体外受精」や良好な精子を1つだけ選んで直接卵子に注入する「顕微授精」などにより、妊娠は可能です。けれども、体外受精や顕微授精は1回25~50万円かかり、金銭的な負担が大きいもの。また、体外受精や顕微授精をする場合、多くの場合女性は卵子が卵巣から排出するのを促す排卵誘発剤を使用しなければならないほか、卵子を採取する際には痛みをともない、体の負担も大きくなります。

■男性も泌尿器科の受診を

一方精索静脈瘤の手術は健康保険が適用されるため、自己負担は7万円程度です。
「精索静脈瘤は、泌尿器科でさらに男性不妊の専門医ならすぐに見つけることができます。また、精液検査の結果は、診断する医師によって大きく異なります。婦人科で調べる場合は多くの場合自宅で採取することになりますが、男性不妊を専門に扱う施設では、病院の専門ルームで採取するのが一般的です。自宅で採取した場合、検査結果が悪くなる傾向があるのです。正確に診断し、適切な治療を受けるために、男性もぜひ一度男性不妊を専門とする泌尿器科で検査を受けてください」(岡田医師)

男性不妊を専門としていることがわかるのが、日本生殖医学会が認定する「生殖医療専門医」の中の泌尿器科医です。同学会のホームページに一覧が掲載されているので、参考にしましょう。

そもそも不妊治療は女性だけががんばるのではなく、夫婦一緒に取り組むもの。治療の選択の際には、必ず夫婦で話し合わなければならない場面も出てきます。より話し合いやすい関係をつくるためにも、パートナーにも泌尿器科を受診してもらいましょう。

(中寺暁子)

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