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これってナンパ? 知らない男性に話しかけられた私は

隣の席の男性は、私が読んでいる本を指差し、
「その本、買おうか迷っていたんです。面白いですか?」
と尋ねてきた。
「まだ少ししか読んでいないのでわかりませんけど。
いい本だと思います。先が気になるというか」
「そっか。じゃあ、買ってみます。ありがとうございます」
会話はそこで終わり、お互い軽い会釈を交わした。

知らない人に話しかけられるなんてはじめてのことで
ドキドキしたけど、すぐに本の世界に引き戻された。
今、この短い時間だけは、育児や家事、仕事といった日常から離れて、
創作された非現実を味わえる。
本を夢中で読みながら、カップを口に引き寄せて、
中身がカラになっていることに気づいた。
窓からはオレンジ色の光が差し込み、陽の傾きを知らせている。
久しぶりの優雅な時間だったけど、もうおしまい。
そろそろ帰って、ゴハンのしたくをしなくちゃ。
伝票を手にしたとき、隣の男性がまた声をかけてきた。
「あの……よかったら食事に行きませんか」

驚きすぎて、とっさには返事ができず、
黙って男性の顔を見ていた。
それを迷っていると勘ちがいしたのか、男性は続けて言った。
「イタリアンでも、和食でも、お好きなところがあれば」
「えーと、あの、私、今日は……」
「今日でなくても。都合がいいときに、連絡をもらえませんか」
男性は押し付けるように名刺を渡してきた。
そこに印刷された社名を見て、あ、と思った。

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